COLUMN 『服の向こう側』 vol.26 / RJ KNIT BLOUSON

良いニットとは?
 
 

雰囲気、華やかさ、質感…等々を備えたイタリア製のニットが人気である。

やっぱりイタリア製は違う!というのが大方の意見だと思う。

 

 

しかし、多くの海外高級ニットメーカーの製品が、日本製の編み機で作られているのは案外知られていない。

全てのニットメーカーがそうとは言わないが、かなりのシェアだ。

 

 

では、何が違うのか?

ただ盲目的に『イタリア製=高級品で素晴らしい』と思い込んでいるのか?

そう言った部分も多少あるかもしれないが…、実は『糸』と『仕上げ』によるところが大きい。

 

 

日本製のニット糸のクオリティが極端に劣っているという訳ではないが、一般的に色数が少ない。売れる色、売りやすい色に偏っており新たなカラー提案がしにくいのである。勿論、別注で染める事も可能だが綺麗な色だしに慣れている紡績メーカーと普段やらないところでは自然と差が出てくるのは容易に想像が出来る。

※日本の紡績メーカーの糸でも綺麗な色や素晴らしいクオリティの物も勿論ある。あくまで一般的には、という話で。
 
 
そこで、今回の企画では、発色の綺麗なイタリア製の糸を探すことから始まった。

 

 

色々と吟味した結果、ウール100%ながら特殊な紡績方法と加工でカシミアを彷彿させるタッチ、そしてほのかな光沢があるこの糸を使うことにした。

とても高級感があって良い。実は、イタリアのニット専業メーカーのウール100%のハイゲージはかなりの確率でこの糸を使っている。バイイングの仕事をしている際にカラーカードを何度か見たり直接聞いたことがあった。

 

 

 

 

 
 

 

 

 
 

 

 

糸染めしたカラーの種類も豊富だが、トップ糸(霜降り)の種類が多いのも良い。グレーのトップ糸(霜降り)は日本でもあるが(それでも色のバリエーション少ないことが多いが…)、ブルーやベージュなどのカラートップを豊富に揃えているのが素晴らしい。

メランジならではの奥行き感のある表情はとても好きなカラーだ。

 

 

 
 

さて、

普通ならこの素晴らしい糸を使って良いニットが出来ました!として終わるところだが、それじゃあイタリアのニット専業メーカーに勝てない。イタリア製ニットの雰囲気をこなれた価格で作るのではなく、それに勝つクオリティを目指すのが今回の企画の狙いだ。

むしろ良い物が出来るのならイタリア製より高くなっても構わない。

 

 

確かに良い糸だが、更に上のクオリティを目指すには?

糸商の事務所に行って色々と話し合った結果、『抗ピル加工』という加工を試してみることになった。

 

この加工の本来の目的は、毛玉防止加工なのだが、その副産物として

・糸自体に弾力がでてキックバックが良くなる

・膨らみ感UP・嵩高性UP

・風合いが滑らかになり1ランク上のクオリティになる

とかなり良いことずくめで、本来の毛玉防止より副産物の方がメインになるくらい良い加工であることが判明した。

 

 

 

 

しかし、何でもメリットがあればデメリットがある。

何故こんな良い加工を何処もやらないのか?と不思議に思って聞いてみると。

 

『実はこの加工をやると1~2割原料が減ってしまう。そうなると1kgあたりの糸単価が上がる。さらに加工賃がプラスされるので…、かなりコストアップになるね。コストを吸収できる安価な糸でやることはあっても、こんな高い糸でやるところはまずないよ。』

という返答だった。

 

 

どこもやっていない?

好きなフレーズである。いつもの悪い癖が出てきた。口元が緩んでいるのが自分でもわかる。

 

本当に?と聞き返すと

『ああ、長年ニット糸にかかわってきたけど、私の知っている限りでは見たことないね。』

との事だった。

 

 

じゃあやろう!

即答だった。

 

 

 
 

 

 

それから何度か試編みしてクオリティを確認。

とても良い出来栄で、確かにクオリティが一格上になる。

 

 

『高いモノが良いとは限らないが、良い物は高い』

それ相応の手間暇がかかっているからだ。

 

 

この加工だけでも充分素晴らしいクオリティだったが、更に膨らみ感が欲しかったのでコード加工という糸を撚り合わせる加工を施した。

双糸(2本撚りの糸)を3本撚り合わせることにより、紡績メーカーの糸を普通に編み上げただけでは出ない独特の表情が出るようになる。

 

 

実は、最初の抗ピル加工だけでも充分じゃあないか?と何度も止められた。

 

仕方がないので試編みの段階で

・イタリア紡績メーカーのレギュラー糸

・上記に抗ピル加工を施した糸

・上記に抗ピル加工+コード加工を施した糸

の全てを比べてみた。

 

 

結果は、やはり一番手間をかけた編地が良い。

当然コストも一番高いが…、この方法でややることにした。

 

 

 

 

そうして出来上がったのが今回のニットブルゾンである。

数年前に作っていたA-1型ブルゾン(フライトジャケットの原型として知られている)をモチーフにニットで表現してみた。

 

 

膨らみ感と弾力のある編地によって、衿が綺麗に立ち上がる。上まで釦を留めると首元をカバーしてくれるのでマフラーいらずなのも嬉しいポイントだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

布帛のブルゾンと違ってニットならではの伸縮性がありとても快適な着心地である。

アームホールは適度な細さに仕上げているが、ボディはあえてピタピタには仕上げていない。程良いゆとりが大人の余裕を感じさせてくれる。

風合いも同価格帯のファインウールやカシミア混のニットと比べてもらえれば圧倒的な差を感じて頂ける筈だ。

 

 

とても良いニットが出来たと思う。

 

 

 

 

ITEM : KNIT / RJ by RING JACKET

ART : 96357F04X

PRICE : 48,000- YEN +tax

COMPOSITION :  WOOL 100%

SIZE : S . M . L

 

 

 

 

 

 

ITEM : KNIT / RJ by RING JACKET

ART :

LEFT-96357F04G (beige)

RIGHT-96357F04C (l.gray)

PRICE : 48,000- YEN +tax

COMPOSITION :  WOOL 100%

SIZE : S . M . L