RING JACKET [直営店 / retail] » column

COLUMN 『服の向こう側』 vol.34 / 『Mr.Slowboy × RING JACKET』

  Mr.Slowboyというキャラクターをご存知だろうか?   Dunhill,Barbour,Drakes…などのファッションブランドから LONDON underground,BMW MINI,Cathay Pacific…といったファッション以外のブランドまで幅広いクライアントを持つロンドン在住のイラストレーターFei氏によるキャラクター。         独特の雰囲気とタッチが世界中で評価されており 今最も人気のあるイラストレーターの一人だ。     インスタグラムなどのSNSでも人気があり以前から注目していた。 ⇒Mr.Slowboy instagram ⇒Mr.Slowboy HP     PITTIやMILANO UNICAなどの展示会でもイラストをブランドイメージのディレクションに使うケースがここ最近増えてきていた。SNSの普及や人気に伴ってクオリティの高い写真が求められる一方で、写真とはまた違った表現手段に注目するブランドが出てきていたのだ。     10数年前までは、いわゆる『綺麗な写真』はプロのフォトグラファーの独壇場だった。しかし、デジタル機器などの技術の進歩により少しかじった素人でもプロ顔負けの写真を撮ることが不可能ではなくなってきているのが現状だ。 しかし、その一方で完璧に綺麗な写真?が世の中に多く溢れることにより、受け手の感動が昔より減ってきたような気がする。贅沢な話だが、ただ綺麗なだけの写真では驚かなくなっているのだ。     完璧な写真より、フィルムカメラによるモノクロ写真や手書きのイラストレーションのように「受け手側に想像する余地のある表現方法」の方が新鮮に映る場合もある。1周廻ってアナログなことが今面白い。       そんな事を考えていた際にふと目についたのがMr.Slowboyだった。 ただイラストが上手いだけではなくて、何故かテーラードジャケットやドレスクロージングに対する愛着のようなものを感じたのだ。     そこで、RING JACKETのイラストを描いてもらって、それをポケットチーフにするのはどうだろうか? という案を思いついた。     昔から思い付いたらすぐ行動に移したい性分だが、思い付きだけでは製品は出来上がらない。 アイデアや思い付きなら誰でも出来る。どうやってそれを形にしていくか?またそのアイデアを実現する為のチームや協力してくれる取引先があるかどうか?がとても重要だ。     そこで、まずRING JACKET Napoliのネクタイ生地を作ってもらっているCOMOのシルクプリントをやっているメーカーに確認をとりイラストをベースにプリント出来るかどうかを確認した。返事はOKだ! プリントするシルク生地の見本も送ってもらった。縫製工場のキャパも確認。 なんとか生産する体制はとれた!     [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.32 / ancient madder print ①

『マダープリントとは?エンシェントマダーとは?』     昨今、英国ヴィンテージ調のプリントタイが人気だ。ファッション誌でも多く紹介されていて大きなトレンドとなっている。その中で、『マダー風の…』『マダー調のプリントが…』といった注釈や説明をよく見かける。 しかし、『マダーとは?』を正確に答えることが出来る人は案外少ない。     実は、数年前からこの『マダー風プリントタイ』と呼ばれるものを何度か目にしていた。PITTI(年2回フィレンツェで開催されるファッションの大型展示会)に出展しているネクタイメーカーが多く使っていたのだ。   そこで、 『これはマダープリントのタイなのか?』 と聞くと   『いや、正確にはマダーじゃあない。マダープリントはもう出来ない。あの雰囲気を再現したものだ。』     という回答が殆どであった。 ※殆ど…と言うのは、『マダープリント』を聞いても何の事か分からない人もいるのだ。     海外のとある人気ショップのバイヤーに聞いても 『マダープリントはもう出来ないって聞いたよ。今あるのは「マダー風」じゃあないかな?』 という回答だった。   『じゃあ、本当のマダープリントってどんな物なのか?』   、、、 今は出来なくなった?もしくは殆ど流通していない謎のタイ…という噂だけが一人歩きしていて正確な情報をもっている人に中々出会わない。 ネクタイメーカーに聞いても、昔ながらの手法でやっていたプリント方法で今は出来ないらしい…といったぼんやりとした答えだった。   色々手を尽くして調べていたが、噂話程度のものや先述のようなぼんやりとした情報にしか辿りつかなかった。そんな諦めかけていたときにふとした偶然で出会ったのが、英国の生地メーカーであるROBERT KEYTE社。おそらく現存するメーカーでは、世界で唯一エンシェントマダープリントをすることが出来る稀有な存在だ。       ある日、数年前に取引先の担当だった人が別の会社に移ったので挨拶にきていた。色々と商材を紹介してもらったが…、正直に言うといきなり取り扱うような商材は無かった。 だがふと、先輩に「出会いや縁というものを日頃から大事にしなさい。」とよく言われていたのを思い出したので『次回出張に行く際にはオフィスに寄らせてもらいますよ。』と言ってその日は別れた。   それから数週間後。出張先で商談をしていると次の打合せ先からアポイントを変更して欲しいと連絡が入った。すっぽりと時間が空いてしまったので、どうしようか思案していた際に先述の営業担当者の顔が浮かんだ。まぁ顔を見るだけでも、といった軽い気持ちでオフィスに向かったのだが…、この時の何気ない気持ちとちょっとした偶然が重なって新しい商品開発に繋がっていくとは夢にも思わなかった。 本当に『出会いや縁』は大事だ。   オフィスに着いて、また幾つか商材を見せてもらったが、前回同様に今すぐにどうこうするといった事はなく、少し世間話をして何となく帰ろうかと思っていると、 『僕はあんまり詳しく知らないんですが、別の部署で生地を扱っているので時間があったら少しみてもらえませんか?』と言われた。   生地は大好物である。時計に目をやると、次のアポイントまでまだ少し時間があった。 ジャンル違いの生地だと思っていても、時代が変わると使うようになった経験を何度か繰り返していたので余裕があれば選り好みせずみるようにしている。     奥から別の担当者が来て生地見本を机の上に並べていくのを眺めていると、 ある文字を見つけて驚愕した。       『Madder 』 [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.31 / RING JACKET Napoli-safari jacket ①

コロニアルスタイルの代表的なアイテムと言えばサファリジャケットを挙げる人も多いと思う。 ベルト付きのジャケットはここ数シーズン人気のディテールだ。     カジュアルなサファリジャケットをこれまでも何度か作ってきた。これまでの物もとても良い雰囲気だったが、『最高のサファリジャケット』を考えたときにこれまでとは違ったアプローチを思いついたのだ。   『ナポリ仕立てでサファリジャケットを作ってみてはどうだろうか?』 という思いが湧いてきた。   『ナポリならではのハンドを駆使したサファリジャケット。ナポリ テーラーリングを駆使するが、テーラード ラペルド ジャケットではないカジュアルサファリジャケットを!』     コンセプトは決まった。 後はナポリに行くだけだ。     ヴェスビオ山         ナポリと言えど、飛び込みで工房に訪ねていっていきなり無理難題を言ってやってくれるところはまず無い。 イタリアでのモノ作りは(特にナポリでは)、人と人の繋がりやコネクションが大きくものを言う世界である。     実は、少し前から幾つかの工房をあたっていた。 シャツ、タイ、パンツ…とナポリ企画で作っていたので、カジュアルジャケットもいつかナポリで…と思っていた。     とは言え先述の通り、いきなり訪問しても中々うまくいかないので知り合いから徐々に広げていく。     例えばシャツの打合せ中に 『知り合いで良いジャケット屋いないかな?』   『なんだ、ジャケットも探しているのか?ジャケットは知らないけどパンツなら良いヤツ知ってるぜ。』     と紹介してもらって見に行く。     パンツ屋でも 『知り合いで良いジャケット屋いないかな?』と聞くと   『ジャケット屋か…。良いところ知ってるぜ。けど、あそこはクオリティは抜群だけど納期はガタガタだ。ネクタイ屋なら知ってるぜ。』     、、、といった具合にすぐに辿り着くことは稀である。 そして出会ったとしても紹介してもらった先が必ずしも良いクオリティとは限らない。 気長に少しずつ輪を広げていく。       そんな作業を繰り返しているときに とある工房に出会った。 [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.30 / cotton raglan sleeve coat

「スプリングコートは着る期間が短い」 このフレーズをよく耳にするが本当だろうか?     『スプリングコート』というこの呼称によって誤解が生じているように思うのは私だけではないはずだ。 真冬用のウールコートの出番は概ね12月中旬~下旬から始まり2月下旬までである。二か月と少しだ。   その一方で、コットン素材のコートは 10月後半~12月中旬、そして3月上旬~4月中旬位だろうか。トータルの着用期間は、年間にして三か月以上だ。 実際に着る期間はコットンの薄手のコートの方が長いのである。しかも、春先+秋口~冬、、、といった感じでシーズンを跨いで着用するので活躍する機会も多い。   実は、コットンコートこそ長く着用できる良い物が必要なのではないだろうか。     オンオフ兼用で使いやすいラグランスリーブ型のコートは、スーツスタイルに合わせるだけでなく「洗いざらしのシャツ+チノパン+スニーカー」といったスタイルにも相性が良い。 コットンコートをラフなスタイルに合わせるのも今の気分である。     さて、そんな使い勝手の良いコットンコートの中でも少し趣向の違った2着を仕込んでみた。                 CASHCO(カシコ)と呼ばれるカシミア混のコットンを使っている。触ったタッチが抜群に良い。 少しだけ微起毛したような表面感もラグジュアリーな雰囲気だ。     年二回ミラノで開催される生地展示会でこの生地を選んだときに営業担当者から笑いながら言われた。     『こんな高いコットンを喜んで使うのは、日本ではあなたの会社くらいですよ。』   『確かに高い。似たようなコットン素材も沢山あるけど、どこか違う。どう違うんだろうか?』   『いやぁ、言葉で説明し難いですね。コットンにしては高過ぎてあんまり売れないんですが、、、好きな人は、この独特のタッチが好きですねぇ。』   『良いものは高いという事でしょうか?「万人受けはしないが、服好きにこそ響く素材」ってウチと相性良いんです。』   そう言ってその場での打合せを終えた。     日本に帰ってからも暫くこの生地の事が頭から離れなかった。 同じシリーズのカシミア混のコットン生地でスーツを作ったことは何度かあったが、コートにしたことは無い。 ここ数年、薄手のコートと言えば、コットン素材のコートよりもポリエステルやナイロンなどの合繊素材のコートが主流であった。 しかし、そういった合繊素材のアウターは多く出廻っていたし、何より新しい提案をしたかった。それと、天然素材ならではの素材感に今一度フォーカスを当てたかったので敢えてこの素材を使うことにした。     この素材の特徴としては、やはりカシミア混コットンならではの風合いが挙げられる。しかし、「カシミア混のコットン素材」自体は、実はそんなに珍しくはないのだ。 幾つかの生地メーカーでやっているのを何度か見たことがある。しかし、このCASHCOとは全く違った風合いなのだ。     [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.29 / ilish linen safari jacket

完璧な商品など存在しない…、 と思っている。     何かを優先すれば、その分犠牲になるものがある。 ハリコシのある英国製の生地で作られたスーツは仕立て映えするが、重く身体に馴染むまで時間がかかるものが多い。その反対にイタリア製の柔らかな生地で作られたスーツはしなやかで馴染みやすいが傷みやすく耐久性としては劣る。   メリットとデメリットは、共存しているとも言える。どちらにフォーカスを当てて楽しむか?がポイントだ。     そんなメリットとデメリットが最も分かりやすい物の代表として『リネン ジャケット』が挙げられるだろう。   シワになるのが嫌だ…、という意見をよく耳にするが、リネンのジャケットが無くなることはない。何故なら、それがデメリットではなく『リネンにしかない独特の存在感。何とも言えないアジ』がそこにあることをいつの時代の服好きも知っているからだ。     ただ闇雲に「リネンであれば何でも良い」という訳ではない。 服好きの心を捉えて離さない特別なリネンが存在する。そう、アイリッシュリネンだ。 アイリッシュ リネン自体は良く耳にするフレーズだと思う。しかし、何故アイリッシュリネンが良いのか?また、アイリッシュリネンの中でもどんなアイリッシュリネンが良いのか?を説明しているのをあまり見たことがない。     RING JACKETでは、古くから使っているアイリッシュリネンの生地メーカーがある。 アイルランドのSPENCE BRYSONだ。 イタリアの薄く柔らかなリネンとは違い厚くヘヴィなリネンを織っている事で有名。しかし、あまり知られていないが、ここでも薄いシャツ用のリネン生地からヘヴィなリネン生地まで幅広く作っている。RING JACKETでは、その中でも目付のしっかりとした『これぞ、アイリッシュリネンだ!!!』というタッチのものを厳選して使っている。     それがどんなリネンか?一言で表すと、、、 『大皺は入るが小皺は入らない』リネン。 薄く柔らかいリネン素材だと小さいシワが無数に入る。実は、これがリネンのシワが安っぽく見えてしまう原因の一つだと思う。 それに比べ、上述のヘヴィなリネンだと『ボコッ、ボコボコッ』とした大きな凹凸のあるシワが入る。これが実にアジがあって良い。このシワこそ服好きが愛するリネンだ。               ヘヴィなアイリッシュリネンを用いて作られたベルテッド・ジャケット。 今季のテーマカラーであるGREENというのも洒落てる。良くあるミタリーアウターとはまた違った雰囲気だ。             クラシックなディテールの一つ。背中のアクションプリーツ。 実は、数年前からRING JACKETならではの視点で作られるカジュアルアイテムが密かに人気だ。1910年代のPコートを独自の解釈で復刻したPコートや、ワークやミリタリーといった要素とドレスパンツをミックスしたチノパンなど…隠れた人気商品が幾つもある。 「大量生産してコストを抑える手法より、少量でもコダワリの詰まった商品」をベースの考え方にしているので彼方此方で見かけるという商品ではないが服好きにこそ響く商品群だと思う。       「大皺は入るが、小皺は入らない」ヘヴィ・アイリッシュリネンを使ったベルテッド・ジャケット。 [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.28 / British×Napoli shirt ②

クラシックな英国シャツのディテールを取り入れた柔らかなナポリシャツを作ることにした。 相反するような要素をミックスすることで、これまでに無い雰囲気のシャツが出来上がる。     しかし、いざ試作を製作しようとすると幾つか問題が出てきた。 ナポリのシャツ工房でターンナップのカフスがなかったのだ。 じゃあ一から作ろう!となり、私自身が10数年前に某カミチェリアでスミズーラしたターンナップカフスのシャツを持ち込んで幾つかの修正を加えて出来上がったのが今回のカフスである。           (上記写真のシャツは試作サンプルになります。)     長さ、芯地、ターンナップの返り方、、、 等々修正を繰り返して出来た苦労と思い入れの詰まったカフス。 実は、シャツ工場で持っている襟型やカフスの型紙をそのまま使うブランドが多い。勿論、それが目指しているデザインであれば全く問題ないのだが…、色々と凝りだすと中々そうはいかない。 この部分がもうちょっと長い方が…、ここはもう少しカーブをつけて…、とどうしてもやりたくなってしまう。 凝りすぎだろうか?と自問自答することもあるが、思い付くと止められない性格みたいなので思いつかなくなるまでやってみることにしている。           少し衿先が長くタイドアップしたときに良い感じにネクタイが収まる この襟型も新たに作った。     15~20年程前のクラシコイタリアブームが起きた際、現在と同じように『英国が気分』として英国生地であったり英国調のディテールに注目が集まっていた。 その当時、ナポリ随一の某クロージングブランドもやはり英国を強く意識したシャツを作っていて、『イタリアから見たイギリス』的なシャツは、とてもシックで洒落ていた。今の気分と相まって、そのシャツに強く惹かれた記憶が鮮烈に蘇ってきたのだ。     イタリア的な衿が大きく開いたカッタウェイカラーの人気が落ち着き、衿の開きが狭いものが注目されてきている。 まさしく、今の気分な衿型だ。   衿のステッチ幅は、前回同様に7mm。 5mmでもなく1mmでもない。一般的なシャツは5mm幅のステッチだが、2mmだけ太くすることによって衿元の表情が全然違ってくる。 何度も何度も試作して辿り着いたRING JACKET Napoli仕様である。 ナポリの工房で、6mm、7mm、8mm、9mm、、、とサンプルを作ってもらい並べて検討したのが懐かしい。職人も最初は呆れていたが、次第にノッてきて一緒になって議論したのが昨日のことのようだ。           『今の気分』にハマる良い衿型が出来たと思う。   ナポリのサルトリアが連なる通り名をとって『CHIAIA(キアイア)』と名付けることにした。       ターンナップカフスとの相性も抜群だ。チラリと何気ない仕草のときに袖口からのぞくカフスの雰囲気が何とも堪らない。 ダブルカフスシャツも好きなのだが、面倒臭がりな性分なのでカフリンクスをするのが億劫に感じてしまうことがある。その点、ターンナップはシングルカフスには無い独特の雰囲気がありながらサラリと着用できるのが良い。 [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.27 / British×Napoli shirt ①

  約1年前、ロンドンに訪れた際にイギリスのシャツを久しぶりに買おうと思っていた。 しかし、いざ買おうとして手に取ると…どうにもしっくりこない。     『気分は英国』 なのは間違いないのだが、ガチガチに硬い芯地で固められた英国シャツをどうしても買う気にはなれなかった。 ナポリ仕立ての柔らかいシャツに慣れてしまった体が、拒絶反応を示してしまうのだ。     残念だった。 本当に買う気で行ったのに買えない。商品企画・開発を仕事にしている前から買い物が好きで、自社商品以外にも色々買うことによって経験や引き出しが多くなると思っている。 落胆してホテルに戻る最中にふとある思いがよぎった。 『買いたくても買えない…。じゃあナポリシャツで英国調のディテールを備えたシャツを作れば良いんじゃないか?』     思い付いたら直感に任せてすぐに行動を起こすのが良いと思っている。 すぐにナポリのシャツ工房に連絡をとった。 『クラシックな英国シャツをナポリの柔らかい仕立てで作れないか?』     返事は 『勿論できるさ!一度試作を作ろう。』 という快活な返事だった。                             続きは、次回に、、、       From creative div. Okuno ⇒creative div. blog

COLUMN 『服の向こう側』 vol.26 / RJ KNIT BLOUSON

良いニットとは?     雰囲気、華やかさ、質感…等々を備えたイタリア製のニットが人気である。 やっぱりイタリア製は違う!というのが大方の意見だと思う。     しかし、多くの海外高級ニットメーカーの製品が、日本製の編み機で作られているのは案外知られていない。 全てのニットメーカーがそうとは言わないが、かなりのシェアだ。     では、何が違うのか? ただ盲目的に『イタリア製=高級品で素晴らしい』と思い込んでいるのか? そう言った部分も多少あるかもしれないが…、実は『糸』と『仕上げ』によるところが大きい。     日本製のニット糸のクオリティが極端に劣っているという訳ではないが、一般的に色数が少ない。売れる色、売りやすい色に偏っており新たなカラー提案がしにくいのである。勿論、別注で染める事も可能だが綺麗な色だしに慣れている紡績メーカーと普段やらないところでは自然と差が出てくるのは容易に想像が出来る。 ※日本の紡績メーカーの糸でも綺麗な色や素晴らしいクオリティの物も勿論ある。あくまで一般的には、という話で。     そこで、今回の企画では、発色の綺麗なイタリア製の糸を探すことから始まった。     色々と吟味した結果、ウール100%ながら特殊な紡績方法と加工でカシミアを彷彿させるタッチ、そしてほのかな光沢があるこの糸を使うことにした。 とても高級感があって良い。実は、イタリアのニット専業メーカーのウール100%のハイゲージはかなりの確率でこの糸を使っている。バイイングの仕事をしている際にカラーカードを何度か見たり直接聞いたことがあった。                         糸染めしたカラーの種類も豊富だが、トップ糸(霜降り)の種類が多いのも良い。グレーのトップ糸(霜降り)は日本でもあるが(それでも色のバリエーション少ないことが多いが…)、ブルーやベージュなどのカラートップを豊富に揃えているのが素晴らしい。 メランジならではの奥行き感のある表情はとても好きなカラーだ。         さて、 普通ならこの素晴らしい糸を使って良いニットが出来ました!として終わるところだが、それじゃあイタリアのニット専業メーカーに勝てない。イタリア製ニットの雰囲気をこなれた価格で作るのではなく、それに勝つクオリティを目指すのが今回の企画の狙いだ。 むしろ良い物が出来るのならイタリア製より高くなっても構わない。     確かに良い糸だが、更に上のクオリティを目指すには? 糸商の事務所に行って色々と話し合った結果、『抗ピル加工』という加工を試してみることになった。   この加工の本来の目的は、毛玉防止加工なのだが、その副産物として ・糸自体に弾力がでてキックバックが良くなる ・膨らみ感UP・嵩高性UP ・風合いが滑らかになり1ランク上のクオリティになる [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.25 / WASHED 2 PLEATS TROUSERES

この不定期連載コラム『服の向こう側』は、普段触れることの少ない『モノ作りの裏側』や『服が店頭に並ぶまでのバックストーリー』を届けることによって、これまでよりほんの少し服に愛着が湧いたり興味を持ってくれたりすると嬉しいなと思い始めた。     商品を手に取ったときに一番気になるのは何だろうか?   個人的には、買い物する際に「このブランドは創業何年で…」等々のブランドリリースをそのままコピペしたような文章に全く興味が湧かない。   そんな事より、 ・何故これを作ろうとしたのか? ・この商品ならではの特性は? ・作り手が本当に伝えたいこだわりは? デザイナー、バイヤー、企画者、職人…、誰でも良い。その商品に携わった人の生の声を聴きたいと思うのは私だけではないはずだ。     ウェブの検索エンジンを使えば、自宅にいながら必要な情報の殆どが得られる現代において『モノ作りの現場に行かなければ分からない事』『検索エンジンでは得られない情報』を届けることの重要性がとても高まってきているように感じる。 ※その一方で、「ファッションとしての楽しさ」「ウンチク一辺倒ではない“見て・着て・出かける(着飾る)”ときにワクワクドキドキする感じ」も同じくらい大事だと思う。     これまで『RING JACKET Napoli』のシリーズを中心に書いてきたが、勿論MADE IN JAPANのシリーズもこだわりが詰まっている。             洗いのかかった程良いヌケ感のあるパンツ。 この『程良い』が曲者だ。これまでこういった製品洗いの商品はイタリア製の独壇場だった。 ガーメントダイと呼ばれるこの手法を用いたイタリア製のジャケットやパンツをこれまで沢山見てきた。確かに上手い。良い雰囲気である。これまで個人的にも色々試してきた。   しかし、根っからのひねくれ者なのか? 『イタリアに出来て日本で出来ない筈がない。』と思い立ち、早速国内の洗い専門工場を当たった。             幾つかの工場でサンプルを見せて、「この表情を出したい!」と打合せするも中々思うような結果は得られなかった。 所謂、反応染めと呼ばれる染料が定着しやすい染料で染める工場はこれまでの取引先であったのだが、目指した雰囲気はこれまでの手法では出来ない。     正直に言うと簡単に出来ると思っていたが、かなり雲行きが怪しくなってきた。     しかし、諦めかけた時に偶然出会ったのは意外なところであった。 いわゆるドレスクロージングメーカーが使うのはウールが中心なので、イタリアのヴィエラ、イギリスのハダースフィールド、日本の尾州といった産地に行くことが多い。   しかし、少し違った切り口があった方が面白いのでデニムやチノクロス等の産地である備後地区(広島~岡山にあるデニム発祥の地)にもう何シーズンも生地を探しに行っている。ドレスクロージングブランドなら普通はこの産地の生地を使う…、といった一般的な常識に縛られる必要はない。 クラシックやルーツに敬意を払いながらも、自由な発想でモノ作りを出来るのがRING JACKETの隠れた魅力の一つだと思っている。   [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.23 / 7:3の法則②

こんにちは、 昨日に引き続き『服の向こう側』7:3の法則第二弾です。     アニマルモチーフをはじめとしたウィットにとんだユニークなモチーフタイが今新鮮!とご紹介させて頂きましたが、、、 正直好みも分かれるところです。(それが良いのですが)     ありそうでない、、、 こんなタイもお勧めです。                         ITEM : TIE / RING JACKET Napoli ART : 59117F54 MODEL : 4 pieghe PRICE : 24,000- YEN +tax COMPOSITION :  SILK 100%  【RAKUTEN ONLINE STORE】     そう、 サテンプリントのタイです。     以前ご紹介させて頂いた通り、『ヴィンテージ調のプリントタイ』が人気です。しかし、殆どベースがシルクツイル等のベーシックな生地にプリントしたものです。     サテンにプリントすることで、サテン生地ならではの光沢感と艶感がとても良い雰囲気に仕上がります。 [...]