shooting

 

 

スタジオで服を綺麗に撮影するのも良いが、ロケならではのヌケ感のある雰囲気も悪くない。

 

 

COLUMN 『服の向こう側』 vol.38 / French styleと L pocket pants

 

 

 

 

 

 

『L ポケット パンツはフレンチか?』

自分の中では随分昔から“何故かフレンチなアイテム”だ。

 

 

 

ここ最近、『フレンチトラッド』『フレンチアイビー』というキーワードを雑誌等でチラチラと見かけるようになってきた。

艶っぽいイタリアファッション一辺倒から、『英国調』のトレンドに移行してしばらく経つ…、じゃあその次は?

という事で『フレンチ』に注目が集まっているのだろう。

 

実は、RING JACKETでは数シーズンおきにフレンチの匂いのする商品をこっそりと展開していた。メインの商材ではないが、ちょっとトレンドとは違った視点での商品があった方が面白いと思うからだ。

だが、声高に「フレンチスタイルです!」と声を上げるのは何だか気恥ずかしい感じがしてブログなどで特別発信はしていなかった。

それは、青春時代の写真を見返すような気恥しさや照れのような感覚だろうか?好きなんだけど好きと言うのがちょっと照れる、、、自分の中の『フレンチ』はそんな感じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20数年前にフランスにハマった。その前は、アメカジ、古着がベースにあったが、それからトラッド、パリやアントワープのデザイナー物、ドメスティックインディーズブランド、ヨーロッパのワークウェア…、と今振り返れば節操がなく何でもアリだった。

そんな何でもアリだった時代から一気にフレンチにハマっていく。ファッションだけでなく、フランスと付けば服だろうが雑貨だろうが本だろうが何でも盲目的に買っていたのだ。でも、知れば知る程『フレンチスタイル』の定義が曖昧でよくわからない。

 

当時働いていた職場の先輩にフレンチスタイルとは?を聞いた

『全てのことに答えを見つけようとするな。言葉にすると陳腐になる。考えるんじゃあない感じるんだ。』

と雲をつかむような話をされ全く分からない。

 

 

ポカンとしていると、先輩はニヤリとしてこう続けた、

『セントジェームスのバスクシャツやベレー帽、ウエストンのローファーだけがフレンチじゃあない。フランス製のものだけがフレンチじゃあないんだ。クラークスのデザートブーツ、ジョンスメドレーのハイゲージニット、コットンギャバジンのステンカラーコートもフレンチなんだ。分かるだろう?』

正直、まだ分からない。

 

仕方ないなという仕草をしながら、けだるそうに煙草に火をつけた。銘柄はゴロワーズだった。

独特の匂いが辺りに充満し始める。煙草をくゆらせながらゆっくりと話し出した。

 

ゴダール、トリュフォーのヌーベルヴァーグから始まり、「勝手にしやがれ」のジャン・ポール・ベルモンド、スタカン時代のポールウェラー、BCBG(べーセーべージェー)、セルジュ・ゲンズブール、ボリス・ヴィアン、サンジェルマン・デ・プレの人達、カフェ・ド・フロール、、、

色んな話を聞いて、何となく分かってきたような気がしたが、、、まだモヤがかかったような感じだった。今思えば、先輩もそんな感じだったのかもしれない。

 

 

 

仕方ないので、別の先輩にもフレンチとは?を聞く

『いいか、男の服っていうのは結局のところルーツを辿っていけばイギリスになる。それから、それを違うベクトルで自由と機能性、合理主義を追求して広げたアメリカだ。その二つだ。けど、それらは其々にスタイルやこう着るべきといったルールがあってそれに倣うのが普通。それをセンスよくミックスしながらスノッブに着るのがフレンチだ!』

ちょっと強引すぎるかな?とも思ったが、あまりにも自信満々で言われたからか?なんとなく合点がいく気もした。

 

 

確かに、それまでは国ごとにスタイルがある程度決まっていて、伝統的なスタイルはこう着るべきといったルールが明確にあった。もしくは、デザイナーズブランドのように既成概念や伝統を無視してアヴァンギャルドに着こなすか?の両極であったように思う。

伝統的な服やスタイルを踏襲しながら、既成概念に捉われずミックスして着こなしていくのが「フレンチ」スタイルのベースにあるのかもしれない。

 

 

最もその事を感じたのが『エミスフェール』について聞いたときだった。かつてパリにあった伝説的なショップで、一時日本の代理店が展開していたこともありご存知の方も多いと思う。一番咎っていた時期と比べると、最後の方は本来のキャラクターが薄くなってしまっていたようだが、セレクトショップの創成期を語る際には必ずといっていいほど名が挙がるショップである。

 

壁一面にラムズウールとシェットランドウールのセーターをベーシックカラーからカラフルな提案カラーまで何十色も並べる。パリジャンならではの色彩感覚を活かした品揃えで斬新な提案だった。

また、当時はまだファッションアイテムとして扱われておらず民族衣装とされていたアメリカのチマヨベストを買い付けてきたり、欧州で取り扱いが殆どなかったオールデンやフローシャイムといったアメリカ靴を並べた。そして、それらをヨーロッパの伝統的なトラウザースやジャケットとコーディネートする提案をしていたのだ。

それまでの欧州の洋品店(今で言うところのセレクトショップ)は、ある程度決まった服や雑貨を取り揃えるのが一般的だったのに対し、エミスフェールならではの自由な感性でミックスして提案するスタイルが多くの人達のハートを掴んだ。

今でこそこういったミックススタイルや独特な色彩感覚は普通のことになったが、日本のセレクトショップの多くはエミスフェールの感性や品揃えに大きく影響を受けたと言われている。まあ実際のところは、他にも様々な要素があると思うし真偽の程は分からない。しかし、度々そういった話が出るくらい影響力のあったショップであるのは間違いないと思う。

 

 

エミスフェールの後に中心メンバーの一人であったピエール・フルニエ氏がエミスフェールとは違ったコンセプトの『アナトミカ』というショップをパリ4区にオープンさせた。20年以上経ったが未だに彼の地を訪れる業界人は後を絶たない。その影響力は、いまだに絶大である。RING JACKETとは全くスタイルの違うショップだが、個人的に好きな店だ。

 

ピエール氏は、高齢になられたのでもうバイイングの為の海外出張は殆ど行ってないと言われていたが、数年前フィレンツェのPITTI IMAGINE UOMOで『ピエールを見た!』『ピエールが来てるらしい。』『本当か!』『嘘っ!!!』と多くのバイヤーが色めきたったのが記憶に新しい。私の周りの多くのファッション関係者にとっては、いまだにレジェンドであり憧れのヒーローなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、少し話が逸れてしまった。

フレンチスタイルに話を戻そう。先述のように先輩達にフレンチスタイルを教わっていくことで、何となくだが分かったような気がする。

アンニュイでシック。ルールがありながら自由。自由なようで何でもアリではない。スノッブ。不思議なスタイルだ。

分かりやすいところでは、ネイビーブレザーにグレーのトラウザースを合わせるのではなくリーバイスのホワイトジーンズにウエストンのローファー。タイドアップも良いけど、シルクプリントのスカーフを巻いて気取ったりする。。。そんなスタイルが、皆が聞き覚えのあるフレンチスタイルだろう。

 

では、それ以外のアイテムは?

 

 

当時、フレンチにハマっていた仲間達でよくこんな話をしていた。

 

『ロングスリーブのポロニットはフレンチ?』

『あぁ、それはフレンチだ!』

 

 

『じゃあ、スミスのペインターパンツは?』

『渋いな?!良いセンいってるけど、微妙なラインだな。』

『いやぁ、それはフレンチだろう!』

 

 

『じゃあ、針抜きのTシャツは?』

『色は?』

『白以外考えられない。』

『フレンチだ!』

 

 

『靴下は?』

『白だ。』

『マイクロボーダーは?』

『何れにしても、薄い生地でないと。』

『薄ければ薄いほどフレンチだ。』

 

 

 

酒を飲みながら、何時間でもこんな話をしていた。

今思えば良くこんなことをしていたなと自分でも呆れるが、その時は楽しくて仕方なかった。

其々に思う「フレンチ」があり、少し違うこともあった。しかし、何故そう思うか?の説明を聞きながら飲む酒が旨かったのだ。(時には映画からの引用であったり、先述のエミスフェールでは、、、といった話もあったり、と多種多様なのがまた面白かった。)

 

 

そんな中、珍しく全員一致で『それは、どうしようもなくフレンチだなぁ。』となったアイテムをよく覚えている。

 

 

「ベージュのコットン Lポケットのパンツ」である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あるトラウザースメーカーではLポケットのことをウエスタンポケットと呼んでいた。ルーツは、ジーンズの5ポケットや乗馬用のパンツなど諸説様々あるが、カジュアルなパンツのディテールとして知られている。

通常のタテ(もしくは斜め)についたポケットとは違った魅力があって良い。スラックスよりカジュアルだが、5ポケットのジーンズより上品に履ける。その曖昧な立ち位置が堪らない。

 

伝統的なLポケットのデザインを踏襲しながら、先細りになる長い持ち出し、ベルトループ無し、、、といったデザインにアレンジしている。

ナポリのハンドメイド職人に作ってもらったので、手仕事が随所にみられ独特のアジがあって良い。

 

 

素材はヴィンテージのコットンツイルを使っている。カラーは濃すぎず薄すぎない絶妙に“フレンチなベージュ”だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

股上も少し深め。全体のシルエットも以前のようなスリムフィットではなく、適度にゆとりがあるスタイルだ。

ハンドならではの雰囲気、ディテール、フィット感、最高のLポケットパンツが出来たと思う。

 

 

 

 

もう一度、冒頭の問いかけを繰り返す。

『L ポケット パンツはフレンチか?』

 

 

自分の中では随分昔から“何故かフレンチなアイテム”だ。

 

 

 

 
From RING JACKET creative div. manager Mr.Okuno

 

 

 

 
ITEM : PANTS / RING JACKET Napoli

ART : 59078F05G

MODEL : RJNP-03

PRICE : 60,000- YEN +tax

COMPOSITION : COTTON 100%

SIZE : 44 . 46 . 48 . 50

 

 

RING JACKET Napoli / double face safari jacket

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前回UPしたベージュ×エクリュのカラーリングもラグジュアリーで良いが、このネイビー×ブラウンも抜群のカラーだ。

濃紺ではなく少し淡いネイビー。濃過ぎず、薄すぎない、好きな色合いだ。

 

また、裏側のブラウンが少しだけ表にも出ていて何とも言えない絶妙な色合いになっている。

 

 

 

 

ITEM : JACKET / RING JACKET Napoli

ART : 59058F02X

MODEL : RJNJ-01

PRICE : 250,000- YEN +tax

COMPOSITION : WOOL 100%

SIZE : 44 . 46 . 48 . 50

【RING JACKET MEISTER ONLINE STORE】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

COLUMN 『服の向こう側』 vol.37 / RING JACKET Napoli -double face safari jacket vol.2

ダブルフェイスの生地は、その名の通り二枚の生地を接結糸でとめて1枚の生地にしている生地のことを言う。二重織りや綾織でタテ糸とヨコ糸の出方が違って表裏の色が変わっている一枚の生地もダブルフェイスと最近では呼ぶが、先述のダブルフェイスとは根本的に違う。

 
 

接結糸でとめているダブルフェイス生地をジャケットにする場合は、裁断したパーツの端を数ミリだけ2枚の生地になるように剥いでから中に織り込む。それから端の処理を手でまつることによって出来上がる。

通常の生地の場合は、端の処理を三巻きにするか、別の生地を重ねて端の処理をするのでどうしても厚みが出てしまう。

ダブルフェイス生地を使った仕立ての利点は、こういった特性を活かして生地一枚で仕上げることが可能なので非常に柔らかく軽く仕上げることが出来る点だ。

 

 

しかし、通常の仕立てと縫製方法が違う為、ある程度上記のことを理解しながらデザインの指示をしないと上手くまとまらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腰のポケットをインバーテッドプリーツ入り、そしてハンドウォーマーポケット(サイドからも手が入る仕様)にした。全部そのまま生地を重ねていくと、、、生地が何重にもなってモコモコになってしまう。元々2枚の生地を一枚に仕上げているので、単純に普通の生地の2倍厚みが出ることになってしまう。

 

そこで、

このパーツは生地を剥いで一枚にして、、、ここの部分は二枚のままで、、、

といった打合せに時間を要した。生地自体の厚みや伸縮性、縫いやすさ等々と沢山の要素があるので、デザインの指示だけでは満足のいく商品は出来上がってこない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当初、背中にアクションプリーツを入れていたが、、、

ココも厚みが出過ぎるので無くすことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

カッターで生地を二枚に剥ぐ専用の機械。ダブルフェイス専門工場にある特殊な機械だ。

 

 

 

サイズの大きい小さいだけでなく、細かい仕様まで詰めていっている。RING JACKET Napoli企画は、本当のオリジナル企画としてやるのがポリシーだ。オリジナル、エクスクルーシブ、別注、、、などと呼ばれている商品が世の中に多く存在するが、その多くはちょっとした変更(もしくはネームチェンジだけ?)だけで大げさに謳っているものも少なくない。

 

イタリア製のアイテムにネームだけ付け替えてオリジナルレーベルとして売るのではなく、RING JACKETの今カッコイイと思うシルエットやデザイン、仕様、思想や考え方をナポリをはじめとした南イタリアならではの工房とタッグを組んで作り出すのがRING JACKET Napoliのコンセプトだ。

 

 

 

苦労は多いが、、、

ありそうでない。世界中探しても見つからないような珠玉のアイテム群となっていると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※軽やかな仕立て

 

 

 

※ベージュ×エクリュの配色がエレガント。

ヴィンテージの生地を使っているが、ふんわりとして柔らかくラグジュアリーなタッチ。ふっくらとした生地ならではのハンドステッチによる沈み込みが良い雰囲気だ。

 

 

 

 

※ハンドによるダブルステッチ。4ポケットなので、通常のジャケットよりハンドステッチの箇所が多い。

工場サイドから『シングルステッチにした方がコスト抑えれるよ。』と言われたが、ここはダブルステッチにこだわった。

この素材、この仕様だからこそのダブルステッチ。とても良い雰囲気に仕上がったと思う。

 

 

 

 

※袖もカーブした前振り袖になっていてアジのある表情だ。

 

 

 

※この素材だと衿は1枚(2枚の生地を接結糸でとめた生地)で良いと判断して一枚で仕上げた。衿を立てると裏のエクリュカラーが見えて洒落ている。

(素材によっては衿がたよりなくなるのでもう一枚重ねる場合もある)

 

 

 

※程良い厚みに収まった腰ポケット。出来上がったものを初めて見る人は何とも思わないが、、、何度かの試作を経て出来上がった『何てことのない普通のデザイン』は感慨もひとしおだ。

 

 

 

 

良い休日ジャケットが出来たと思う。

使い古された台詞で陳腐だが、『一生モノのジャケット』という言葉がとてもよく似合う。

 

 

 

 
From RING JACKET creative div.manager Mr.Okuno

 
 

 

 

ITEM : JACKET / RING JACKET Napoli

ART : 59058F01G

MODEL : RJNJ-01

PRICE : 250,000- YEN +tax

COMPOSITION : WOOL 100%

SIZE : 44 . 46 . 48 . 50

【RING JACKET MEISTER ONLINE STORE】

 

 

COLUMN 『服の向こう側』 vol.36 / RING JACKET Napoli -double face safari jacket vol.1

 

ナポリをはじめとした南イタリアならではのハンドメイドの服が好きだ。

独特のアジ、何とも言えない雰囲気、着心地の良さ、昔ながらの手仕事、、、挙げていくとキリがないほど好きなところが沢山ある。

 

その一方で、納期遅れ、仕様間違い、ナポレターナならではの性格?、、、等々のトラブルが後を絶たない。多くの輸入代理店が『良いのは分かるけど…、リスクが大きすぎる。』として扱わないのもよくわかる。

 

しかし、だ。全て平均点の『悪くない商品』、、、より、『悪いところがいっぱいあるけど、それらを帳消しにしてしまうぐらいズバ抜けた個性がある商品』に心惹かれる。知人には、『おかしい』『理解出来ない』と良く言われるが、まぁ好きで好きで堪らないものは止めようがない。

 

 

そんな商品が先日入荷した。

正直、納期や仕様の件で何度も何度もやりとりしていて『もうこんな事は最後にしよう。』とまで思っていたのだが、、、

入荷した商品を見るとその思いは消えてしまった。

 

 

素晴らしいクオリティに感動したのだ。

 

 

ITEM : JACKET /  RING JACKET Napoli

ART : 59058F01G

MODEL : RJNJ-01

PRICE : 250,000- YEN +tax

COMPOSITION : WOOL 100%

SIZE : 44 . 46 . 48 . 50

 

 

 

 

ダブルフェイス仕立ての商品は、特殊な技術を要するので通常の工場で出来ない。ドレスクロージングのファクトリーブランドもダブルフェイスに関しては協力工場に依頼するのが一般的だ。

前回(2017年FW)はシチリア島のダブルフェイス工場まで行ってコートを作ったが、諸事情があり別の工場を探すことになった。情報を色々と集め白羽の矢がたったのはプーリア州レッチェのとある工場だった。

 

メゾンブランドの生産からナポリの重鎮メーカーの生産まで手掛ける凄腕工房だ。ナポリよりさらに南下することになる。一瞬、『遠いな。』と思ったが、すぐ訪問することに決めた。

今、メールや電話で殆どの要件は伝える事が出来る。わざわざ現場まで行かなくても仕事は出来るんじゃあ?と言われることもある。半分正解で半分不正解だ。

やはり『現場』に行かなければ分からない事が多くある。また、イタリア人特有の気質もあるが、実際に会って話さないことには仕事が前に進まない。特に南の地方(同じイタリア国内でもミラノなど北部の人達は、南は人種も国も違う!とよく言う)はそれが特に顕著だ。今回はナポリより更に南下することになる。どうしても行かなければならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナポリからプーリア州レッチェまで車で約4時間。

労力と時間がかかるが、その苦労を忘れさせてくれる商品が出来れば本望だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山を越え、途中で道に迷ったり、警官に止められたり(こんなエリアに日本人がいるのを訝しんだのか?数十分、職務質問をされたりパスポート番号を問合せされたり、、、と何も悪いことはしていないのだが、かなり緊張する場面もあった。)

と色々あったが予定より少しオーバーして5時間程で何とかレッチェに辿りついた。

 

 

 

 

早速、工場を案内してもらう。

ダブルフェイス仕立てに特化した設備。整備された製造ライン。ハンドメイドの部署。プレス。仕上げ。

素晴らしい!の一言に尽きる。ここまで来た甲斐があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、社長室にもどって

事前に依頼していた試作のチェックにとりかかろうとするが、、、

またトラブルが発生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ途中までしか出来てなくて、『ポケットも今から針で仮止めするからちょっと待って。』と言われた。

空いた口が塞がらなかったが、仕方ない。

 

 

悪びれた様子も無い。ナポリより更に南の都市なので、ナポリよりさらにのんびりとした国民性?なのか。

 

 

万事全て順調といったことの方が少ないRING JACKET Napoli企画だが、中々大変な滑り出しだ。だが、こういった事が日常茶飯事のこととして慣れてきているのか?逆にアドレナリンが出て燃えてくるようになってきた。

 

 

 

試作依頼書、メモ帳とメジャー、そして針をもって言った。

『さあ、やろうか。』

 

その時は、これから数時間に渡る打合せが始まるとは思いもしなかった。

 

 

 

 

 

長くなったので続きは次回に。

 

 

RING JACKET creative div.manager  Mr.Okuno

 

『RING JACKET / fabric guild 』 vol.11 / Duca Visconti-wide wale corduroy

 

今季のディレクションテーマの一つとして『wide wale corduroy』(太畝コーデュロイ)を挙げている。

少し前は、こういった太い畝のコーデュロイは野暮ったい印象で人気が無かったが、ここ数年ですっかりそういった印象も無くなった。

一般的には、パンツコールと呼ばれる15~16ウェル(※畝の単位で数字が大きくなるほど細い畝になる)前後のコーデュロイが主流だが、今なら10ウェル以下のコーデュロイが狙い目だ。もっと言うと、6~8ウェルくらいの太い畝がベストである(写真のジャケットは6ウェル)。

 

 

コーデュロイの太さ以外にも重要なのが整理加工の仕上げだ。

イギリス(ブリスベン・モスなど)や日本のコーデュロイ生地はマットな仕上がりで落ち着いた印象なのに対して、イタリアを代表するコットン系素材のファブリックメーカーDuca Visconti社のコーデュロイはイタリアならではの発色の良さと艶感のある仕上がりが特徴だ。

 

勿論、どういった狙いの商品にするか?なのでどちらが優れているという訳ではないが、、、

今回の商品は、太畝コーデュロイならではの野暮ったさを中和する意味もありDuca Viscontiのコーデュロイを使った。太畝ならではのアジのある表情ながら古臭さを感じさせないのは、viscontiならではの艶のある仕上げによるところが大きい。

 

 

 

 

 

しかし、このベルテッドジャケットが艶やかでありながらアジのある表情に仕上がっているのはそれだけではない。

この表情を出す為に敢えてルールを破った使い方をしているのが分かるだろうか?

 

 

展示会でもモノ作りに詳しいバイヤーが『アレ?これって、、、。』と気付いた人が数名いたが、まあ普通にしていれば殆ど気付く人はいないと思う。

 

 

実はコーデュロイには毛の向きがあって、生地表面を撫でたとき綺麗にねる『なで毛』、表面がザラっとして濃くなる方向の『逆毛』がある。逆毛(職人さんによっては略して『サカ』とだけ言う人も)にして裁断する方が毛並みが綺麗に見えて均一な製品(厳密には均一に見えやすい)になりやすいが、、、

今回のベルテッドジャケットは均一で綺麗に見えるより、多少ムラ感というかアジを優先したかったので「なで毛」で敢えて作っている。光の当たり具合によって見え方が変わって、悪く言えば色ムラがあるような見え方、良く言えば表情豊かな見え方になる。

製品洗いのジャケット程ラフになる訳ではなく、ちょっと生地表面の表情があって適度なカジュアル感が出るようにしているのだ。

 

 

『何となく雰囲気がある』『何か分からないけど格好良い』というフレーズをよく耳にするが、違うと思っている。

“何となく格好良いのではなく、意図と狙い、ディテールへの追及と創意工夫、そしてちょっとした偶然、、、が積み重なり格好良くなっている”のだ。

 

 

野暮ったさではなく、色気を纏ったコーデュロイジャケットが出来たと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ITEM : JACKET / RJ by RING JACKET

ART : RJ058F01F

MODEL : RJJK-07

PRICE : 69,000- YEN +tax

COMPOSITION : COTTON 100%

SIZE :  S . M . L . XL

 

●上記商品取扱店舗

【国内】

KURIYA HOUSE

・大阪 京阪百貨店 Traditional Standard

 

【Overseas】

・KOREA  RANDOM WALK

 

 

 

 

 

 

ITEM : JACKET / RJ by RING JACKET

ART : RJ058F01G

MODEL : RJJK-07

PRICE : 69,000- YEN +tax

COMPOSITION : COTTON 100%

SIZE :  S . M . L . XL  . XXL

 

●上記商品取扱店舗

【国内】

・大阪 京阪百貨店 Traditional Standard

 

【Overseas】

・KOREA  RANDOM WALK

・Hong Kong Lane Crawford

military ox shirt

ファッションは意外性があると面白い。

皆が着ている服を着る安心感も分からなくはないが、「個性や自分らしさ」を考えたときに右に倣えの着こなしが本当に良いかどうか?考えてみるのも時には良いと思う。

 

 

デニムシャツがメンズクロージングの世界で定番となってどれくらい経っただろうか?

程良いヌケ感があり少しカジュアルに見せるのに役立つ。ジャケットスタイルにタイドアップで使っても良いし、チノパンにニットなどのカジュアルなスタイルにも使えるので汎用性も高く使いやすい。とても便利なシャツだ。

 

だが、先述の話と同様に皆が着ているからこそ、、、

違った着こなしにチャレンジしたくなるのが服好きの性だ。

 

 

『デニムシャツの次』として、こんなシャツを企画してみた。

 

 

 

 

 

 

 

両胸ポケット付のシャツ。

実は、USアーミーのシャツをモチーフにしながら幾つかのワークシャツのディテールを詰め込んでいる。

 

今、世界中で『ヴィンテージミックス』『ヴィンテージのミリタリーウェアをドレスクロージングのアイテムとミックスして着こなす』のが人気となっている。しかし、古着屋で本物のミリタリーウェアを探して着るのは少々難しい。古着のコンディションやサイズ…等々の問題もあるし、ある程度の年齢の大人がユーズド品を着るという事に抵抗がある人も多い。

じゃあ、そういった雰囲気・空気感を持ちながら上質なシャツを作れば面白いのでは?というところから本企画はスタートした。

 

 

 

衿型は、先述のUSミリタリーシャツをベースに少しアレンジしている。

またステッチはダブルステッチ。洗いをかけると程良いアタリが出て良い雰囲気になる。これも古いアメリカのシャツに良く見られるディテールの一つだ。

シルエットは、程良く身体にフィットするシルエットにしている。以前のようなスリムフィットではないが、古着シャツのようなダボダボのサイズ感でもない。今の気分をのせてた良いバランスのフィッティングとなっていると思う。

 

釦も猫目釦と言われるアジのある釦を使っている。通常のシャツ用釦は、穴が4個となっているのに対して2個となっており、その名の通り猫の目のような形状をしている。これもドレスシャツではあまり使わない形状で、どちらかと言うと古いワークウェアに使われることが多い。

 

 

 

 

 

とここまでミリタリー・ワークウェアのディテールを搭載したシャツ、、、

と紹介してきたが、縫製はワークシャツの工場ではなく、敢えてドレスシャツを縫う工場で縫っている。何が違うのか?と言われることが多いが、「全く違う。」と言い切れる。

袖付けを高級ドレスシャツでみられる『後付け』にしている。腕を動かしやすいように後から付けるのだ。一般的なカジュアルシャツは身頃と一緒に一気に縫ってしまう。この方が効率が良いのだ。

あと、脇裾のピース。カーブした台衿。身頃の前身と後ろ身のバランス。。。等々ここでは書ききれない数多くのディテールを備えている。

※この辺りの話は、蘊蓄が長くなりすぎるので、また機会をみつけて紹介したいと思う。

 

 

それと、カジュアルシャツとは運針(ステッチの細かさ)が違うのが最も分かりやすいかもしれない。とはいえ言われなければ分からない人が殆どだと思う。しかし、良く比べてもらうと全く違う。

これによりラフ過ぎるカジュアルシャツではなく、ワークやミリタリーの要素がありながらどこか上品なシャツ。そう、テーラードジャケットに合わせることが出来るミリタリーシャツが出来上がるのだ。

 

 

 

 

素材も最高の生地を使っている。備後地区(広島県と岡山県に渡る地域でデニムやチノクロスの産地として有名)の生地屋で探してきた素材で、どちらかと言うと本気のミリタリーウェアを復刻しているメーカーが喜んで使っている素材だ。この生地屋が個人的にとても好きで、10人に満たない会社ながら世界中から有名デザイナーや企画者が生地を買いにやってきている。

世界的にみてもこういったワークウェアやミリタリーウェアの復刻生地は、この産地が断トツである。何度かイタリア人に見せたことがあるが、皆間違いなく驚愕する。

イタリアやイギリスの生地も好きだが、こういったmade in Japanならではの生地もとても気に入っている。

 

 

ミリタリーオックスというヘヴィなオックス生地で、シャツだけでなく軽いアウターにも使われることもあるガッシリとした生地だ。最初固く感じるが着込んでいくと良い感じに馴染んでくる。

これは、自分で着てみて気付いたが、高密度でしっかりしているのでツイードのジャケットを着てもチクチクしない!薄手の柔らかいシャツ生地ではこうはいかない。

 

 

今、RING JACKET Napoliの企画でナポリでもシャツを作っているので、こういったヘヴィオックスのシャツを作りたくてイタリアで手を尽くして探したが、、、

ここまでの生地は無かった。

 

 

ドレスとミリタリーが高次元で融合した不思議なシャツ。

ここまでのクオリティは、ありそうでないと思う。デニムシャツを既に持っている方にこそ是非お勧めしたいシャツだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■BEIGE

ITEM : SHIRTS / RJ by RING JACKET

ART : 56108F10G

MODEL : RJS-05

PRICE : 18,000- YEN +tax

COMPOSITION : COTTON 100%

SIZE :  S . M . L . XL . XXL

 

●上記商品取扱店舗

【国内】

・神奈川 京急百貨店

KURIYA HOUSE

 ・大阪 京阪百貨店 Traditional Standard

 

 

 

 

 

 

 

■GREEN

ITEM : SHIRTS / RJ by RING JACKET

ART : 56108F10G

MODEL : RJS-05

PRICE : 18,000- YEN +tax

COMPOSITION : COTTON 100%

SIZE :  S . M . L . XL . XXL

 

●上記商品取扱店舗

【国内】

・神奈川 京急百貨店

KURIYA HOUSE

 ・大阪 京阪百貨店 Traditional Standard

『RING JACKET / fabric guild 』 vol.10 / loden steiner -loden cloth brown

前回、『本物のローデンクロス』について書いた。

ローデングリーンと呼ばれる深いグリーンがローデンクロスの典型的なカラーの一つだが、もう一色人気のカラーがある。

 

 

このブラウンだ。

 

 

 

 

 

ローデンクロスは、オーストリアのチロル地方で織られた紡毛織物で、ハンティングをしているとき森林に馴染むカラーとして使われた深いグリーンがローデングリーンと呼ばれるようになったと言われている。

その説が正しいとするなら、森の木々をイメージさせる深いブラウンもまたローデンクロスならではのカラーなのかもしれない。

 

 

 

森の木々に馴染む深いブラウン

しっかりと目の詰まった生地

独特のドレープ

 

 

ブラウンのローデンクロスを使ったコートも悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ITEM : COAT / RJ by RING JACKET

ART : RJ018F30F

MODEL : RJCO-10F

PRICE : 170,000- YEN +tax

COMPOSITION : WOOL 100%

SIZE : 44 . 46 . 48 . 50 . 52

【RING JACKET MEISTER ONLINE STORE】

COLUMN 『服の向こう側』 vol.35 / bespoke shoes『TETSUO MUNE』

淀屋橋店で『TETSUO MUNE』のビスポークイベントをするので、今回は靴のことを書いてみようと思う。

 

 

初めて会ったのは、15年以上前だっただろうか?

知人の紹介だったか?飲みに行ったらたまたま居合わせたのか?あまり詳しく覚えていない。ただ、誰とでもすぐ打ち解ける朗らかな性格とファッションが本気で好きな人だなと思ったのは覚えている。暫く会わない期間があったが、彼がジョンロブで働くようになってからたまに会って話すようになった。服屋から靴屋に変わりお互い歳をとったが、初めて会った時と全く変わらないのが彼の良いところの一つだと思う。

 

 

そんな彼から突然連絡がきて

『今の会社を辞めてビスポークシューズをやっていこうと思っています。まだ、一人でやっていて数量も出来ないので、、、ある程度作れるようになったら見てもらえませんか?』

と言われた。

 

 

スタイル提案やフィッターとしてのスキルは抜群だったが、モノ作りとなると少し話が違う。しかし、本当に好きで好きで堪らなくて突き詰めてやっていく人は、道は険しくてもいずれ大成する!というのが私の持論だ。色々と否定的な事を言う人もいたが、私は応援していた。

 

 

また、暫く会わない期間があり忘れかけていた頃

『靴をみてくれませんか?率直な意見を聞きたいんです。』

 

と連絡があった。この業界は浮き沈みが激しく、志半ばで辞めていった人間を何人も見てきたので素直に嬉しかった。それから何度か試作の靴を見せてもらっては、ここはこうした方が良いのでは?この木型は…、とやり取りを繰り返していた。

 

 

数か月経ったある日、連絡があった。

『某ビスポークメーカーに勤めていた職人さんが独立するので、自分の靴作りも手伝ってくれることになりそうなんです。それが出来たら、少量ずつですがお客様の受注生産が出来るようになるかもしれません!』

※ビスポークシューメーカーは、一人では生産数が極めて限られるので数人の職人とチームを組んでやるのが一般的。


自分の事のように嬉しかったのを覚えている。まだリングヂャケットで取り扱うかどうか?の話も全く決まっていないときであったが、思わず自分のオーダーシューズをお願いした。

 
 


これまで靴のパターンオーダーをした事は何度かあったが、本格的なビスポークは初めてだった。
靴の企画案をイタリアのシューメーカーに持ち込んだり、デザインを考えた事も何度かあったけど、それらともまた違った魅力があってとても新鮮な経験だ。

 

 

 

1stフィッティング

 
 

細かく計測していく

 
 

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トライオンシューズ。スーツオーダーのゲージのような靴。

足を採寸した情報と、靴を履いた状態の情報との両方を使って精度を上げていく。

 
 

 
 

それから数か月後に仮縫いの靴が出来上がってきたので2ndフィッティングに行ってきた。

 

 

 

 

当たる箇所や、、、もっと攻めていく所と、、、

相談しながら決めていく。

 
 


 
 
 
 

こうして数回の打合せとフィッティングを経て出来上がったのがこの靴である。


 

 

•革
『質の良い表側の黒』とだけリクエスト。基本的な要望だけ伝えてタンナーは任せる事にした。

ある程度は決めて任せるとこは任せる…というやり方が一番良いと思っている。

 

 

イルチア、アノネイ、ワインハイマー…など海外有名タンナーの名前だけで選ぶのも目安としては悪くないが、実はランクがあってクオリティも様々だ。

有名タンナーの下位ランクの革を使うくらいなら…、『日本の栃木レザーの革の方がずっと良い』との事。
同社のベジタブルタンニンレザーに少し興味があったので、これまでとは違ったセレクトでmade in Japan レザーというのも悪くない。

 

 

…と思っていたが、キメ細かい上質なレザーが手に入ったから此方にしました!とのこと。
革はDu Puyだった。エルメスが贔屓にしている革屋で上品な印象だ。
予定と変わったが、革質にはとても満足している。

 


•ソール
J.Rendenbach
オークバークソール
ベイカーと迷ったが今回はレンデンバッハに。両社共にビスポークではよく使われるが、既成靴ではあまり使用されない。勿論、クオリティは抜群だ。次回はベイカーにして違いを愉しんでみたい。

 

 

Fiddle back仕様でグッと土踏まず部分をシェイプさせた。

半カラス仕上げも好きな仕様だ。

 
 

 
 


•シームレスバック
ビスポーク靴の全てでやっているという訳ではないが、カカト部分の切替が無いこのデザインは吊り込みに手間がかかるので既製靴ではまずやらない仕様だ。
折角ビスポークするなら…とシームレスバック仕様にする人が多いらしい。ビスポーク靴と既製靴を見分ける簡単な方法の一つとも言える。

 

 


あとバックルシューズのビスポークと既製靴の簡単な見分け方もある。

バックル部分のピンをさす穴の数である。既製靴ではアジャストできるように穴が3つあいているのが一般的だ。
それに対してビスポークシューズは、作る人の足に合わせて一から作るので穴を一つしかあけない(勿論リクエストすればあけてくれるが)。

 

•ピッチドヒール
ヒールの積み上げが先細りになるようにするビスポークでよく見られた仕様を取り入れてみた。スッキリとしてエレガントな印象になる。
また、高さも通常より気持ち高くしてみた。こういった所もアレンジ出来るのはビスポークならではだと思う。


ピッチドヒールは細くなる分、安定感が落ちるので良くないという意見もあるが…まぁ好みだと思う。

 
 


•トゥデザイン
トゥのデザインがプレーントゥだと少しシンプル過ぎる気がしたのでキャップトゥにするか?穴飾りを入れるか?迷っていた際に作り手から提案があったのがこのイミテーションキャップトゥ。

某パリ ビスポークシューズで昔見られた仕様。本来のキャップトゥだと革を一枚上からかぶせることになる。そうなると数mmだが段差が出来るのに対し、この仕様だとよりスマートでエレガントなキャップトゥになる。(ま、殆ど分からないレヴェルだが…、言われなければ分からない?言われても分からない?ような事に拘るのがメンズクロージングの面白い所だと思う。)

 

 


『それは良い!』と採用したが、そのまんまやるのも面白くないし、スッキリし過ぎてしまうのでは?との懸念もあった。
そこで、以前に靴の企画案を何度かイタリアのシューメーカーに持ち込んだ際に使ったディテールの一つとして、トリプルステッチにしてシンプルな中にも少し主張を入れるというデザインをした事を思い出した。

そうした話し合いの中で、イミテーションキャップトゥ+トリプルステッチ という仕様にする事になった。

※ステッチ糸の番手を太くするかどうか?という話もでたが、ここは作り手の美意識に任せた。
バイイングや商品企画の仕事を色々とやってきたが、これまでの経験則から言うと何から何まで口出しするとかえって良い物は出来ない。
ある程度の方向性とベースのデザイン案(70~80%くらい?)は固めておくべきだが、任せるとこは任せる!というほうが結果として良い物が出来ることが多い。

 

 


最終的にはサイドの切替はダブルステッチ。イミテーションキャップトゥはトリプルステッチ。
ステッチの太さは同じで…となった。
結果としては大満足である。

 
 


 
 


•サイドの切替デザイン
側面後方の切替のデザインが気に入っている。
その昔、ビスポークシューズで用いられたディテールを取り入れてみた。
しかし、本来はダービー型に使われたディテールだったので、今回のシングルバックル バルモラル型の仕様には向かない…、という事で革の切替や端の処理など何度かの打合せを経てこのデザインに落ち着いた。

 

 


デザインを触るという行為は、服同様に作り手と依頼する側の両方がある程度の知識と経験、そして共有するイメージを持って話し合う事が重要だと改めて思った。

正面からは普通だけど、横からよく見ると少し変わっている…という塩梅がとても好みだ。

勿論、無理にデザインを触る必要はない。デザインサンプルがあるので、気に入ったスタイルを選んでオーダーする事も可能だし、究極のベーシック!としてシンプルなストレートチップをオーダーするのも悪くない。
 
 

•フィッティング
足の形自体は、そんなに変わったクセがない。ただ、全長が小さいので『足の形そのまま合わせる』と小さく見え過ぎてパンツとのバランスが難しくなる。
この辺はスーツのオーダーにも通じる部分があるなと思う。身体に合わせるのがオーダーとはいえ、全てキッチリと合わせるのが必ずしも正しいとは限らない。極端な例えだが、全身タイツを着た姿が果たして格好良いかどうか?
どう見せたいかによって、ゆとりの取り方が変わってくる。

『足が小さく見えないように、トゥ部分の適度な捨て寸とボリューム感』
『でもビスポークらしく攻めるとこはググッと攻めるフィッティング』
という何とも漠然とした難しいお題をださせて頂いた。

 

 


あと細かい所だが既製靴だとくるぶしが当たる事が多い。しかも片側だけ。そんな訳で、いつも靴が馴染むまで絆創膏を手放せない。


そこで、くるぶしが当たらないよう左右共に高さのバランスを調整してもらった。
勿論、ボールド感が弱くならないようにヒールカップを小さくしてカカトをしっかりと包み込むようにしてもらっている。

 


フィッティングの出来上がりに関して言うと、『素晴らしい!』というところと『もう少し攻めれたな』というところがある。
しかし、スーツやシャツのオーダーも微調整しながら3回くらい作ってやっと完成形に近づくと思うので、最初でここまでのクオリティだと大満足である。
『もう少し攻めれたな』と思うところは次回へのお愉しみが残っているんだと前向きに捉えている。

 
 


Bespoke の本質とは?
を最近良く考えていた。

『話す』を意味するところからも、話し合いながら理想とするイメージ像を共有しながら少しずつ一緒に形にしていく行為だと思う。

オーダーだから何でも出来る!という単純で乱暴なものでもない。人と人が理解し合うのは時間がかかるし、相性の問題もある。
しかし、そういったやりとりを経て出来上がった物はとても思い入れがあって、身体の一部のようにさえ思えるぐらい愛着をもつようになってくる。
革、縫製方法、品質や薀蓄…など色々あるが、そんな事よりそこにこそ本質があるように思う。

 

 


それが、最近考えていたBespokeとは?の一つの答えのような気もする。

 

 

しかし、その一方で作り上げるまでに時間や労力や経験、コストがかかるのも事実だ。

今回Bespokeをする事で、それらを結集して全てのバランスを高次元で追求していく『究極のready to wear』の可能性を感じる事ができたのが実は一番良かったかもしれない。
自社の『注文服のような既製服を作る』というスローガンが前にも増して好きになった。

 
 


これからも
究極のready to wearと
Bespoke
両方愉しんで行きたい。

 
 
 
 

From RING JACKET creative div. manager Mr.Okuno

 
 
 
 
 
 

TETSUO MUNE プロフィール

宗鉄雄(ムネ テツオ) 靴職人・靴磨き職人
元Corthay大阪 / 元JOHNLOBBヒルトンプラザ店マネージャー
JOHNLOBBでビスポーグ担当も5年務め、パリのアトリエやノーザンプトンのファクトリーで靴作りも学ぶ。
JOHNLOBB退社後、国内の手縫い靴学校で靴作りの基礎を学んだ後、自身のビスポークシューズ「Tetsuo Mune」を設立。
2016年10月大阪西天満に、レザーメンテナンスサービスと靴オーダーを受ける「Crépin」を出店し、現在に至る。
 
 
開催期間:2018年11月23日(金 祝日)・24日(土)
ビスポークシューズ価格:¥276,000-(税抜)から

納期:約4か月後仮縫 + 約4か月後仕上り
 
 

シューシャイン価格:無料

納期:即日(*場合により後日お渡しになることもございます)

1910′s long P-coat

 

 

 

 

もう10年程前になるだろうか?知人の変態洋服バカ(←褒め言葉)に借りたヴィンテージの1910年代ロングP-coatをベースにウチらしいモディファイを加えて作ったコートは、クラシッククロージング好き&ヴィンテージ好きの両方から支持されロングヒットとなった。
それから毎シーズン少しずつアップデートしていったが、遂に完成形に達したかな?と思う出来栄えに。

 

 

 

 

※原型となったヴィンテージのコート

 

 

袖タブ付きに。

腰のポケットもパッチ&フラップ型に修正。

 

 

 

※ステッチもワークウェア用の粗々しいものではなく、運針も細かく繊細な印象に

 

 

 

イカリマークに星マーク付きのヴィンテージ釦も釦メーカーで復刻されてはいるが、、、

そこは敢えて本水牛釦にした。

 

 

 

※アルスターコートやポロコートに見られるバックベルトとタックを採用。

 

 

 

素材は、敢えてメルトンではなくRING JACKETオリジナル素材のBalloon。

膨らみがあってナチュラルな伸縮性のあるバルーンウールをコート用に糸を撚り合わせて織り上げ、モッサー仕上げにしてふんわりと仕上げた。

 

 

ミリタリー由来のヴィンテージコートをルーツとするが、ヴィンテージそのままを復刻するのではなくRING JACKETらしいバランスで出来上がったと思う。
 

 
改めてジックリとみて…
良いコートだと思う。

 

 

 

ITEM : COAT / RJ by RING JACKET

ART : RJ018F40X

MODEL : RJCO-08

PRICE : 120,000- YEN +tax

COMPOSITION : WOOL 100%

SIZE : S . M . L . XL

【RING JACKET MEISTER ONLINE STORE】