CREATIVE DIV. [企画] -Blog- » 2018 » 8月

COLUMN 『服の向こう側』 vol.34 / 『Mr.Slowboy × RING JACKET』

  Mr.Slowboyというキャラクターをご存知だろうか?   Dunhill,Barbour,Drakes…などのファッションブランドから LONDON underground,BMW MINI,Cathay Pacific…といったファッション以外のブランドまで幅広いクライアントを持つロンドン在住のイラストレーターFei氏によるキャラクター。         独特の雰囲気とタッチが世界中で評価されており 今最も人気のあるイラストレーターの一人だ。     インスタグラムなどのSNSでも人気があり以前から注目していた。 ⇒Mr.Slowboy instagram ⇒Mr.Slowboy HP     PITTIやMILANO UNICAなどの展示会でもイラストをブランドイメージのディレクションに使うケースがここ最近増えてきていた。SNSの普及や人気に伴ってクオリティの高い写真が求められる一方で、写真とはまた違った表現手段に注目するブランドが出てきていたのだ。     10数年前までは、いわゆる『綺麗な写真』はプロのフォトグラファーの独壇場だった。しかし、デジタル機器などの技術の進歩により少しかじった素人でもプロ顔負けの写真を撮ることが不可能ではなくなってきているのが現状だ。 しかし、その一方で完璧に綺麗な写真?が世の中に多く溢れることにより、受け手の感動が昔より減ってきたような気がする。贅沢な話だが、ただ綺麗なだけの写真では驚かなくなっているのだ。     完璧な写真より、フィルムカメラによるモノクロ写真や手書きのイラストレーションのように「受け手側に想像する余地のある表現方法」の方が新鮮に映る場合もある。1周廻ってアナログなことが今面白い。       そんな事を考えていた際にふと目についたのがMr.Slowboyだった。 ただイラストが上手いだけではなくて、何故かテーラードジャケットやドレスクロージングに対する愛着のようなものを感じたのだ。     そこで、RING JACKETのイラストを描いてもらって、それをポケットチーフにするのはどうだろうか? という案を思いついた。     昔から思い付いたらすぐ行動に移したい性分だが、思い付きだけでは製品は出来上がらない。 アイデアや思い付きなら誰でも出来る。どうやってそれを形にしていくか?またそのアイデアを実現する為のチームや協力してくれる取引先があるかどうか?がとても重要だ。     そこで、まずRING JACKET Napoliのネクタイ生地を作ってもらっているCOMOのシルクプリントをやっているメーカーに確認をとりイラストをベースにプリント出来るかどうかを確認した。返事はOKだ! プリントするシルク生地の見本も送ってもらった。縫製工場のキャパも確認。 なんとか生産する体制はとれた!     [...]

『RING JACKET / fabric guild 』 vol.2 / Marling Evans-bric check

半年に一度ミラノで生地の展示会がある。 Milano Unicaだ。シャツ生地から合繊、ウール…様々な生地メーカーが集まる一大イベントで世界中のブランドのデザイナーや企画者が集まり次シーズンのコレクションで使う生地をセレクトするのだ。     多くの生地メーカーの中から何百~何千といった生地をみて吟味するのだが、みた瞬間に『コレだ!』と思う生地に出会うことがある。       その中の一つがこの生地だ。       英国のMarling Evans。 今季のテーマカラー『bric brown』(レンガを彷彿させるブラウン)のチェックが洒落ている。 この生地でスーツを作った。                 Marling Evans というと昔からの服好きにはジャケット用生地のメーカーというイメージがあるかもしれない。しかし、ここ数シーズンでスーツ対応の生地を作っていた。面白いな…、と思いながら実際に使う機会がなかったのだが、この色柄にはヤラれた。   抜群に格好良い。     しっかりとした質感ながら英国生地にありがちなザラつき感がない。 そして、杢糸の表情が素晴らしい。 ※メランジと杢糸とを混同している人が多いが、別物である。簡単に言うと、トップ染めした霜降り糸がメランジで、杢は色違いの糸を撚り合わせた糸の事を指す。 メランジ(霜降り)は自然な色ムラになるのに対し、杢はより大胆にムラがでる。(勿論、霜降りの作り方によってムラが大きくでるように作ることも可能だが、一般的に、、、という事で)                 生地の大きな流れとして「英国調」が挙げられるが、その中でも少しカントリー要素を含んだものが旬と言えるだろう。 しかし、『カントリージェントルマン』と言えば聞こえは良いが、コスプレ的な格好はいただけない。あくまで『ブリティッシュ カントリー フレイバー』を感じさせながら都会的でクリーンな着こなしがお勧めである。           ITEM : SUIT / [...]

『RING JACKET / fabric guild』 vol.1 / Loro Piana – pecora nera

2018年 秋冬シーズンのディレクションテーマ『bric brown』。 レンガを彷彿させるブラウンをテーマカラーとしているのは何度か触れさせてもらった。     それ以外にもディレクションテーマがある。『ビッグパターン』『ナチュラルカラー』がそうだ。   そこで、今回紹介したいのがこの生地。           ブラウン×オフホワイトの大柄のグレンチェック。 かなり大柄のグレンチェックで通常のジャケット生地ではなかなか無い柄である。一般的に柄を大きくしようとすると糸を太くする必要がある(柄自体を大きくせずピッチを広げて大きくする手法もあるが…)。糸を太くするということは、目付(ウェイト)がついてくる。     実は、この生地もウェイトは500g/mで本来コート用の生地である。ここ数年は軽いコート地が人気(400g~450gくらい)だったので、、、コート生地の中でも重い方に入る。それを敢えてジャケットでやってみたのだ。     しかし、『重い』と言われることはほぼ無い。     『ウェイトのある生地を使っても軽い着心地になる』 RING JACKETらしいジャケットとも言える。 ※RING JACKETで一番軽い仕立てであるno.278モデルというのも重さを感じさせない理由の一つだ。       ビッグパターン以外にもナチュラルカラーを挙げていたが、、、 まさにナチュラルカラーそのものなのがこの生地だ。         Loro PianaのPECORA NERAというシリーズの生地を使っている。 羊の原毛そのものの色を活かした生地で、このシリーズは『オフホワイト、ベージュ、ブラウン、ダークブラン』のみで色柄が構成されている。羊から刈り取ったナチュラル(自然)な羊毛のカラーで出来上がった生地なのだ。     通常は、糸にする段階で調合した染料を使って染めていくのだが、、、 その工程を敢えて省きナチュラルなカラーを表現している。   ※羊毛そのもののカラー「オフホワイト、ベージュ、ブラウン、ダークブラウン」のみで構成。ナチュラルで暖かみのある表情だ。       このundyed woolを使う手法自体は以前からあったが、どちらかと言うと英国メーカーが得意としており、刈り立ての原毛で脱脂もせずゴワゴワの風合いを残している荒々しいものが多い。イメージとしてはガンジーニットやインバーアランなどの古いフィッシャーマンセーターのような風合いと言えば分かりやすいだろうか?     そこは、流石イタリアを代表するファブリックメーカーであるロロピアーナ。英国メーカーがするツイーディな英国羊毛による原着色undyed [...]

[fabric guild] vol.0

  これまで、意図的に生地について深く触れるのを避けてきた。 理由は二つある。     15年程前だろうか?多くのブランドやアパレル企業が生地メーカーのタグを袖口につけて販売することで購買に繋げようとしていた。ある一定の成果は出たものの…、意図とは違う認識をする人達が多くなってしまった。『この生地メーカーなら大体このプライス…。』といったように使っている生地メーカーによってプライスレンジのイメージがついてしまったのだ。 実際は、同じ生地メーカーであっても生地によってプライスレンジの幅も違うし、縫製仕様やデザイン…諸々によって製品のプライスは変わってくる。 そういった誤解や間違った認識を避ける為、RING JACKETでは基本的に袖口に生地メーカーのタグをつけて販売しない方針にしたのだ。     あともう一つの理由としては、生地についてマニアックなブログを書くと「生地オタク化」「服オタク化」するのが嫌だった。当ブログでも何度か触れたことがあるが、コラム『服の向こう側』などではファッション業界人でさえ知らない深い話を書いていることもある。実際に同業者から『いつも楽しみにしています。ファンで熟読していますっ!』と何度も言われたことがある。 そういった人達は私のことを『マニアックな知識を持っているかなり特殊な服飾偏愛家』と思っている人が多いが、実は全く違う。 服は、『見て、手に取って、着たときの感動が全て』と思っている。マニアックなディテールや知識はどうでも良いのだ。ただ、この仕事をやっている以上、追求するところは徹底的にやろうと思っているだけである。     なので、あまりマニアックなブログ内容で一部の人達だけに喜ばれるより『着ることの楽しさ』や『ワクワクドキドキする感じ』を多くの人達に伝えたいのが本音だ。そこで、ここ2~3年は『如何に格好良くて、ワクワクドキドキするか?』を伝える手段としてヴィジュアルイメージの作り込みや写真のクオリティアップに力を注いできた。       上記の理由により、生地について深く触れないようにしていたのだ。 だが、『RING JACKETは、モノ作りにこだわったブランドなので…、もっと「生地」や「作り」などの話をしていっても良いのでは?』『多くのブランドが乱立している現代においてRING JACKETならではの強みをもっと打ち出しても良いのでは?』、、、 という声が多くなってきた。       そこで、これまでのコラム『服の向こう側』が、服が店頭に並ぶまでのバックストーリーを中心に綴るのに対し 「生地」そのものにフォーカスした『fabric guild』というコラムを不定期で書いていくことにした。サラリとした内容のこともあれば、深く掘り下げることもあるかもしれない。気分次第ないい加減なコラムだがお付き合い頂ければと思う。     今季のディレクションテーマとも併せてこのビッググレンチェックのことを紹介したいと思うが、、、 長くなったので詳細は次回に。              

MEN’S EX online ファッション履歴書

                MEN’S EX online ファッション履歴書のコーナーにて弊社creative div.maneger 奥野の取材ページが公開されています。 ご覧下さいませ。 ⇒MEM’S EX online ファッション履歴書  

VBC factory ③

VBCの魅力とは何だろうか? と今回の工場見学で考えていた。     原毛から生地が出来上がるまでの全てをコントロールする力?   社員を大事にし、地元の雇用を守り地域密着型の企業姿勢?   どちらも正解だと思うが、VBCの企画力も魅力の一つだと思う。       その企画力の一端を垣間見ることが出来るのが、VBCアーカイヴルームだ。                                   100年以上前の生地資料などが整然と並ぶ様は圧巻だ。   ここにある昔の資料をベースにVBCの企画が構成される。いくらクオリティの高いものを作っていても『新しいモノ』や『時代性』が無ければ飽きられてしまう。過去の資料を見ながら如何に現代の雰囲気に変えて生地にするか?そんな正解の無い難しい作業を連綿と続けてきたその経験値こそがVBC最大の強みなのではないだろうか?