amrican flavor なシャツ

    何度かここで書いている通り、今期の打ち出しテーマに『ameican flavor mix』がある。     こんなチェック柄が気分だ。     勿論、american flavorなディテールを備えたシャツである。詳しくはまた次回に。              

COLUMN 『服の向こう側』 vol.46 /  柔らかく丸い衿

  今回、2019年春夏スタイルの撮影をFIRENZEで行った。 その際、コーディネートの主軸の一つとして使ったのが、今回のラウンドカラーシャツである。           数年前にもラウンドカラーのシャツが流行ったことがあったが、その時は衿が小さくワイド気味のものが多かった。タイドアップも勿論出来るが、洗いざらしでカジュアルに着ても洒落てる、、、というイタリア的解釈のラウンドカラーであったと思う。     それと比べると今回のラウンドカラーは衿先も少し長く、開き具合も狭くレギュラーカラーに近い雰囲気。英国の伝統的なシャツを彷彿させるクラシックな衿型である。 シャツメーカーなら多くの衿型を持っていて当然この辺りのデザインも持っている、、、と思いきや案外もっていないケースが多い。特にイタリアのシャツファクトリーでは、イタリア的ラウンドカラーはあるが英国的なデザインは無いケースがあるのだ。   無いなら作ろう!と製作にかかった。   何でもかんでも別注で作るのが良いとは思わない。「欲しいものが無い。なら作る。」のがオリジナルの本来のあるべき姿だと思う。「別注の為の別注?」「別注してますと言いたいが為の別注」が多く氾濫しているように思うのは私だけだろうか?                 毎度のことながら打合せは難航。 1時間程で終わる予定の打合せが、気が付けば3~4時間経っていたというのはザラである。『ナポリは難しい』と日本人の同業者だけでなくイタリア人までも口を揃えて言うが、本当にその通りだと思う。しかし、『ナポリにしか出せない雰囲気がある』のも事実だ。   上がってきたサンプルを見て苦笑いしながら連絡することは一度や二度ではない。(仕様間違いや指示通りになっていない…等々。)         ※何故かセカンドサンプルでOKだったところが、サードサンプルで間違って上がってくる。一つ改善されると、一つ間違う? いたちごっこのような打合せが数回続く。 並べてみると分かりやすい。衿の開き具合が違うだけで全く違うシャツになる。       今回も計4回サンプルを上げてもらって何とか商品化にこぎつけた。衿のデザインだけでなく、ステッチ幅、芯地、台衿フロント下のクリ、、、等々言われなければ分からないけど、実はコダワリが詰まったモディファイをしている。     英国のシャツメーカーは芯地が硬くカッチリした印象になるが、このシャツは適度な柔らかさの芯地を使いながら接着芯で固めないフラシ仕上げにこだわった。クラシックなデザインだけど独特の柔らかい雰囲気に仕上がっている。 縫いやすく綺麗に仕上がりやすい(クレームになり難い)との理由で生地を接着芯で固めて衿やカフスを作るイタリア・シャツメーカーも多いが、やはり接着芯で作られた衿は堅い印象で独特の柔らかさが表現できない。接着芯を使っていても高級シャツと認知されているブランドもあり、好みの問題でもあるが、、、RING JACKETのスーツは接着芯ではなく、手間暇がかかるが生地本来の風合いや柔らさを大事にする毛芯仕立てだ。どちらが相性の良いシャツかは言うまでもないだろう。   クラシックな佇まいだけど、ナポリならではのアジと柔らかさがあるシャツに仕上がった。手前味噌ながら良いシャツだと思う。                 [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.45 / paisley print tie  

「ヴィンテージ調のプリントタイ」の人気がここ数年続いている。 レトロなようで新しい…、というのが出だした頃のイメージだったが、しばらく続いたので新しさというより定番的なものになってきた感がある。   そこで、少し変化が欲しいなと思っていた際にナポリの工房で見つけたのが、ペイズリーにプリントをしたタイだった。 通常のネクタイはツイルやマットなどの組織が大きく目立たない無地の白生地にプリントする。今回のは、ジャカード織機でペイズリーの白生地を織り、その上から色柄をプリントする手法だ。 工房のマエストロによると、70年代後半~80年代に流行った手法の一つだそう。     その手法を用いて、モチーフはもっと古い資料から選んだ。カラーリングも色々とアレンジしたので時代感が分からない不思議な雰囲気のタイが出来上がった。 古き良き時代のサンローラン、ピエールカルダン、レノマ的な雰囲気もあるが、クラシックな雰囲気もある。時代、エリア、ブランド、、、特定できない感じが良い。             日本人は、『~であらねば』『正しい着方とは』 といったHow to 本やルールが好きだ。雑誌などでも、「こういった靴にはこのスーツ、、、」「このシャツにはこのネクタイが正解!」なんて記事をよく見かける。古くはアイビーブームのときから、ルールに縛られる安心感に浸ってきた歴史があるので仕方無いのかもしれない。 案外、洋服屋の方がこういったルールを気にし過ぎて自由にファッションを楽しめないこともある。     基本は確かに大事だが、全てルール通りの着こなしは失敗はしないぶん没個性的になる恐れがある。勿論、派手派手しいのが良いと言っているわけでは無い。 『基本ルールは分かっているけど、、、たまにはそんなの無視した着こなしも悪くないな。』 そんな気分のときにピッタリなタイだ。     いつの時代でも、ファッションは縛られるものではなく楽しむものだと思う。               [RING JACKET MEISTER ONLINE STORE]                 [RING JACKET MEISTER ONLINE STORE]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.44 /  餅は餅屋?

『餅は餅屋』と言われるように『パンツはパンツ屋』『シャツはシャツ屋』といった専業ブランドが日本人は好きだ。シャツの中でもドレスシャツ専門、カジュアル専門のシャツ屋というようにより専業化したものが好まれる傾向にある。多角的に展開するより一つの事に特化している専業ブランドの方が信頼感があるというのが大方の意見だろう。   意外に思うかもしれないが、ヨーロッパでは案外そうでもない。専業ブランドと言っていても、その実は多角的に展開している会社の一部門であったり、自社工場を持たず外注生産で廻しているところも多い。商品企画も社外の企画会社に委託しているケースまでもある。 所謂「トータルブランド」と「専業ブランド」の差は? 実は思い込みやイメージで判断していることも多いのではないだろうか?   勿論、皆がイメージする専業ブランドもある。しかし、上記のように様々なケースがあるのが実情だ。 海外に出張に行って話していると、そんな事にこだわるより、そのブランドの世界観やコーディネートをセットで提案する方が理に適っているという人達が案外多い。     結局のところ、 ブランドの肩書 (専業ブランドであるということも含めた) で判断するのではなくて商品そのものが『良いかどうか?』が重要だと思う。     気付いている人もいるかも知れないが、ここ最近の投稿をあえて『ネクタイ』を中心にやっていた。ただ、ネクタイメーカーの用意したものをセレクトしてブランドタグをつけかえているのではなく、様々な手法を用いて「ワクワクドキドキする商品開発」をやっている。正直、ネクタイメーカーでもしないような事までしていると思う。 ネクタイだけでなく、シャツ、パンツ、アウター、勿論ジャケットも同様だ。     最終的に「専業ブランド神話」を信じるかどうかは個々人の好みによるが、そんな神話を覆すような商品を作り続けたいと思う。     さて、 前置きが長くなった。     今回は特に好き嫌いがハッキリでるデザインだが、『american flavor mix』な今季の気分にピッタリの1本だ。               american trad shirt の定番の一つとしてマドラス柄がある。元々はインドの手織り生地で柔らかく鮮やかな多色使いのチェック柄が特徴だ。 それをパッチワークにした生地でシャツやシャツジャケットを作るのも定番として知られている。 アメリカンな気分にピッタリではあるが、面積の多いシャツやジャケットでパッチワーク柄はかなり目立つし難易度が高い。     そこで、パッチワーク風の柄をデザインしてネクタイに仕上げた。 程良いカジュアル感を出す為に、シルク100%ではなくリネン58%・シルク42%の生地にプリントしたのもポイントだ。     以前も書いたが、全身アメトラではなく あくまでamerican flavorをミックスするのが気分である。           [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.43 /  Mr.Slowboy × RING JACKET vol.2

2018年 秋冬シーズンに好評だった『Mr.Slowboy × RING JACKET』pocket square 企画の第二弾が届いた。 ⇒詳しくは前回のコチラ             2019年 春夏のディレクションテーマ『JAM COLOR(ジャム カラー)』を伝えたところ、、、 ジャムを彷彿させる綺麗なカラーを取り入れるのは勿論だけど、『ジャム』から発想を広げてRING PEOPLEがロンドンの公園でピクニックをするのはどうだろう? というアイデアが出てきた。   良いね!面白い!!!     という事で出来上がったラフスケッチがこちら 何だか楽しそうな雰囲気だ。                 今回もポップなイラストながら胸元にさすとすんなり馴染む素敵な商品が出来た。 是非手に取ってもらいたい。                   ITEM : POCKET SQUARE / RING JACKET ART : 59269S01 PRICE : 12,000- [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.42 /  american flavor vol.2

前回、昔のRING JACKET広告資料から復刻したamerican flavorなタイを紹介させてもらった。 生地から作り込んでいったのでとても思い入れのあるタイである。   実は、これだけではなくて、、、 どうせCOMOまで行って作るならと他のネタも仕込んできた。     前回みつけた古いスクラップブックと共に見つけたのがこの資料だ。         前回の1981年より更に古い 1973年のブルックスブラザーズのカタログである。     なかなか興味深い内容が盛り沢山だ。興味の無い人が見ると、ただ古臭いだけの資料かもしれないが、他社のデザイナーや企画者がみると興奮すること間違いなしだと思う。 こういった資料が何気なく残っているあたりにもRING JACKETの歴史を感じる。       パラパラとめくっているとふと気になるページがあった。             当然、レジメンの落ち方もアメリカ式。 右上のデザインが気に入ったので、この資料をベースにCOMOの生地メーカーと打合せをした。           ※COMOの某シルク生地メーカーのGiorgioさん。長年ネクタイ業界にいる重鎮ながらチャーミングなキャラクターで彼を慕う業界人も多い。     ただメールして終わり、、、 ではなく打合せをしていると色々な話が出てくるから面白い。     『懐かしいなぁ。イラストなんで分かり難いが、これはイギリスの生地メーカーが得意としていたクラシックな ツイル&サテンのクオリティだと思うよ。よく見ると全部同じ組織じゃあなくて、無地とラインのところがツイル組織とサテン組織に切り替わっているのが分かるかい?』     『昔は、このクオリティが流行ったの?』     『今でも無い訳じゃあないけど、最近はあんまりみなかったかな。でもトレンド的にこういった生地はまたアリかもしれないね。』     『じゃあそのブリティッシュ ツイル&サテンの生地は今でも作れる?』   [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.41 /  american flavor

以前のブログにも書いたが、『英国調』のトレンドが長く続いたので少し変化が欲しくなってきた。 そこで、今期はamerican flavorを少し加えるのが気分だ。トラディショナルなブリティッシュスタイルにアメリカンフレーバー、、、まんまアメリカンではなく、シックにセンス良くというところは往年のフレンチアイビーにも通じるイメージだ。       何か良いネタが無いかな?と社内の古い資料を漁っていると面白いスクラップブックを見つけた。           1981年のリングヂャケットの広告資料だった。 旧206レーベルのネイビージャケットと共にコーディネートされていたのはトラディショナルなレジメンタルストライプタイ。 レジメンの向きが向かって左上から右下に落ちるアメリカ式である。現在は、右上から左下に落ちるイギリス式が一般的で、イタリアのタイメーカーのものは殆どイギリス式のデザインである。 この広告が掲載された時代背景からもアメリカの影響を強く受けていた時期であり、文章も『ニューイングランドでは、、、』とあるように当時の流行を感じさせる興味深い内容だ。   そう、今はこんなタイが何周か廻って気分である。   アメリカントラッドのブランドに行けばあるにはあるが、、、 ズバリすぎるのではなくて、もう少しアレンジしたものが欲しい。 そこで、生地からオリジナルで作ることにした。       クオリティは、英国の老舗タイメーカーも好んで使う打ち込みのしっかりとしたレップ組織。   デザインは昔の広告写真をCOMOに送って復刻。配色を少しだけモダンにアレンジ。ベーシックな配色の中に、今季のテーマカラーである『JAM COLOR』を加えた。   勿論、ストライプの落ち方はアメリカ式だ。     これをナポリ最古と言われているタイファクトリーで4折り共裏仕様(クワトロピエゲ カプッチョ) に仕上げた。         american flavor を感じさせながらも、古臭さがない。 コテコテ感が出たコスプレファッションは、ある意味簡単だ。「程良いアレンジ」を加えるのは案外難しい。 全身アイビーや、英国調、、、 ではなく、いつものスタイリングにタイだけ少し違うテイストを入れる。そんな気分に絶妙にマッチする良いタイが出来たと思う。   マイブームとしては、敢えてLポケットのパンツにこういったタイを締めたい気分だ。     ITEM : TIE / RING JACKET Napoli ART : [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.40 /  como × napoli tie

  先日、とあるスタッフと話していて「RING JACKET Napoliタイの独特の色柄のファンのお客様がいます!」と話してくれた。   世のトレンドに沿った皆が「良いね」というタイは世の中に数えきれない程ある。特に日本は、世界的にみても過剰と言えるほどモノが溢れている特殊なエリアだ。勿論、RING JACKET Napoliタイもある程度トレンドを意識したコレクションを組んでいるが、一部全く無視したものを敢えて数マーク作るようにしてきた。 あっと言う間に売れるものもあれば、そうでもないものもある。売れるにこしたことは無いが、、、マーケティング主導型すぎる商品開発は、同質化しジワジワと魅力を失っていく。トレンドも大事だが、モノに携わる人間が『本当に格好良い!』『ワクワクドキドキする!』ことの方が遥かに大事だと思う。そういった商品は必ずお客様の琴線に触れるからだ。     そんな訳で、常に何か楽しいことが出来ないか?今までとは違った角度から商品開発出来ないか?と考えるのが好きで堪らない。 新商品開発には、新しい生地サプライヤー開拓も重要なファクターである。そこで、7月にナポリ~ミラノと廻るついでにシルク生地の産地コモに向かった。       綺麗な湖。青い空。白い雲。 ヨーロッパ有数の避暑地でもあるコモは、ゆったりとした時間が流れている。素晴らしい生地は、やはりこういった環境で産まれるのだなぁと素直に思える景観だ。 何度かコモに訪れているが、いつも朝から夜遅くまで打合せに明け暮れているのでゆっくりしたことがないのがとても残念である。いつか休暇でゆっくりと来てみたい。             新しい生地メーカーに行って全然駄目なときと、心躍るときとがある。今回は嬉しいことに後者だった。     今までの生地メーカーでは無かった色出しも良かったが、少し凝ったテクニックを使った試作サンプルに目がとまった。             両面プリントを施した上にサンドウォッシュ加工をして薄っすらと白みがかった独特の表情になっている。触ったときのタッチも抜群だ。   興味津々に聞くと、   『まだ試作段階なんだ。ダブルプリント自体は以前からあったけどコストが高くなるし、、、サンドウォッシュ加工もしてるので更に高くなる。面白そうだからやってみたけど現実的に難しいかな?』   『いや、コレは良い!是非やりたい。』   『でも、もう一つ問題があるんだ。どんな色柄でも出来るというわけじゃあない。反対側に色が影響するかもしれないから其々の面の色を丁度良いカラーリングにしないと成立しない生地なんだ。この試作は上手くいったから、これズバリなら良いよ。勿論、コスト高いのが良かったらね(笑)』     という返答だった。   勿論、多少高くてもやるつもりだったが、問題はそこじゃあない。 ヒネクレものと言われればそれまでだが、ここに置いてあるサンプルズバリをやれば簡単に出来るかもしれない。しかし、だ。今日帰った後に他のデザイナーが来たら同じようにするかも知れない。この色柄も決して悪くない。むしろ、良いと思う。 しばらく葛藤したが、自分の中の奥にある考えに従った。   『このダブルプリント・ストーンウォッシュの手法を使って、別のこの柄で、、、表面は、この配色にして、裏面はこの配色で、、、』 と打合せを始めた。   [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.39 / napoli と fox brothers

    昨年の7月、milano unicaという生地の大型展示会に行ってきた。どうせミラノまで行くのであれば、ナポリも廻ってRING JACKET Napoli企画の打合せをすることにした。   ナポリのネクタイ工房でヴィンテージのアーカイブ資料をベースに色柄を作り込んでいく。ネクタイのマエストロの意見を聞きながら作りこんでいくこの作業も段々とスムーズになってきた。最初のころは、ナポリ服飾業界の昔話や『ネクタイとは…』といった禅問答のような話を聞くだけで2時間くらい経って中々仕事が進まなかったが、信頼関係が出来てきたのか?自分のペースで仕事が出来るようになってきた。                           しばらく工房にこもってアーカイブ資料を漁っていると、ふと不自然なものが目についた。 ヘヴィフランネル素材を使ったタイだ。         実は、スーツやジャケットのメーカーでもそうだが、どこの生地メーカーのものでも仕入れられるという訳ではない。各社で取引のある生地メーカーがあって、それがブランドの個性や打ち出しの違いに結びついている。 またネクタイメーカーであればネクタイ用のシルク生地メーカーと取引はあるが、スーツやジャケットに使われるウール生地のメーカーとは取引がないのが一般的だ。カチョッポリやドラッパーズなどのカットレングス対応のバンチからカットしてタイを作る場合もあるが、薄く柔らかいイタリア生地が殆どでこんなしっかりとしたフランネルは見たことがなかった。     マエストロに恐る恐る聞いてみると、   『あぁ、これはFox Brothersの生地を使っているんだ。Foxのダグラスさんと縁があってFox Brothersのイベント用に作っている。内緒だぞ。』 との返答。   『ダグラスさんは良く知っている!じゃあ、Foxの生地を仕入れてネクタイに出来るってこと?』   『う~ん、これは特別な依頼でやっているからなぁ。勝手にOKとは言えない。ダグラスさんに直接聞いてもらった方が良いかな。』   『分かった。ちょうど来週に生地展示会で会う約束をしているからそこで聞いてみる!』   となった。               翌週、ワクワクしながらミラノの生地展示会に向かった。 Fox Brothersのブースでダグラスさんに会うと、早速今回の企画意図を説明した。 [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.38 / French styleと L pocket pants

            『L ポケット パンツはフレンチか?』 自分の中では随分昔から“何故かフレンチなアイテム”だ。       ここ最近、『フレンチトラッド』『フレンチアイビー』というキーワードを雑誌等でチラチラと見かけるようになってきた。 艶っぽいイタリアファッション一辺倒から、『英国調』のトレンドに移行してしばらく経つ…、じゃあその次は? という事で『フレンチ』に注目が集まっているのだろう。   実は、RING JACKETでは数シーズンおきにフレンチの匂いのする商品をこっそりと展開していた。メインの商材ではないが、ちょっとトレンドとは違った視点での商品があった方が面白いと思うからだ。 だが、声高に「フレンチスタイルです!」と声を上げるのは何だか気恥ずかしい感じがしてブログなどで特別発信はしていなかった。 それは、青春時代の写真を見返すような気恥しさや照れのような感覚だろうか?好きなんだけど好きと言うのがちょっと照れる、、、自分の中の『フレンチ』はそんな感じだった。                     20数年前にフランスにハマった。その前は、アメカジ、古着がベースにあったが、それからトラッド、パリやアントワープのデザイナー物、ドメスティックインディーズブランド、ヨーロッパのワークウェア…、と今振り返れば節操がなく何でもアリだった。 そんな何でもアリだった時代から一気にフレンチにハマっていく。ファッションだけでなく、フランスと付けば服だろうが雑貨だろうが本だろうが何でも盲目的に買っていたのだ。でも、知れば知る程『フレンチスタイル』の定義が曖昧でよくわからない。   当時働いていた職場の先輩にフレンチスタイルとは?を聞いた 『全てのことに答えを見つけようとするな。言葉にすると陳腐になる。考えるんじゃあない感じるんだ。』 と雲をつかむような話をされ全く分からない。     ポカンとしていると、先輩はニヤリとしてこう続けた、 『セントジェームスのバスクシャツやベレー帽、ウエストンのローファーだけがフレンチじゃあない。フランス製のものだけがフレンチじゃあないんだ。クラークスのデザートブーツ、ジョンスメドレーのハイゲージニット、コットンギャバジンのステンカラーコートもフレンチなんだ。分かるだろう?』 正直、まだ分からない。   仕方ないなという仕草をしながら、けだるそうに煙草に火をつけた。銘柄はゴロワーズだった。 独特の匂いが辺りに充満し始める。煙草をくゆらせながらゆっくりと話し出した。   ゴダール、トリュフォーのヌーベルヴァーグから始まり、「勝手にしやがれ」のジャン・ポール・ベルモンド、スタカン時代のポールウェラー、BCBG(べーセーべージェー)、セルジュ・ゲンズブール、ボリス・ヴィアン、サンジェルマン・デ・プレの人達、カフェ・ド・フロール、、、 色んな話を聞いて、何となく分かってきたような気がしたが、、、まだモヤがかかったような感じだった。今思えば、先輩もそんな感じだったのかもしれない。       仕方ないので、別の先輩にもフレンチとは?を聞く 『いいか、男の服っていうのは結局のところルーツを辿っていけばイギリスになる。それから、それを違うベクトルで自由と機能性、合理主義を追求して広げたアメリカだ。その二つだ。けど、それらは其々にスタイルやこう着るべきといったルールがあってそれに倣うのが普通。それをセンスよくミックスしながらスノッブに着るのがフレンチだ!』 ちょっと強引すぎるかな?とも思ったが、あまりにも自信満々で言われたからか?なんとなく合点がいく気もした。     [...]