COLUMN 『服の向こう側』 vol.34 / 『Mr.Slowboy × RING JACKET』

  Mr.Slowboyというキャラクターをご存知だろうか?   Dunhill,Barbour,Drakes…などのファッションブランドから LONDON underground,BMW MINI,Cathay Pacific…といったファッション以外のブランドまで幅広いクライアントを持つロンドン在住のイラストレーターFei氏によるキャラクター。         独特の雰囲気とタッチが世界中で評価されており 今最も人気のあるイラストレーターの一人だ。     インスタグラムなどのSNSでも人気があり以前から注目していた。 ⇒Mr.Slowboy instagram ⇒Mr.Slowboy HP     PITTIやMILANO UNICAなどの展示会でもイラストをブランドイメージのディレクションに使うケースがここ最近増えてきていた。SNSの普及や人気に伴ってクオリティの高い写真が求められる一方で、写真とはまた違った表現手段に注目するブランドが出てきていたのだ。     10数年前までは、いわゆる『綺麗な写真』はプロのフォトグラファーの独壇場だった。しかし、デジタル機器などの技術の進歩により少しかじった素人でもプロ顔負けの写真を撮ることが不可能ではなくなってきているのが現状だ。 しかし、その一方で完璧に綺麗な写真?が世の中に多く溢れることにより、受け手の感動が昔より減ってきたような気がする。贅沢な話だが、ただ綺麗なだけの写真では驚かなくなっているのだ。     完璧な写真より、フィルムカメラによるモノクロ写真や手書きのイラストレーションのように「受け手側に想像する余地のある表現方法」の方が新鮮に映る場合もある。1周廻ってアナログなことが今面白い。       そんな事を考えていた際にふと目についたのがMr.Slowboyだった。 ただイラストが上手いだけではなくて、何故かテーラードジャケットやドレスクロージングに対する愛着のようなものを感じたのだ。     そこで、RING JACKETのイラストを描いてもらって、それをポケットチーフにするのはどうだろうか? という案を思いついた。     昔から思い付いたらすぐ行動に移したい性分だが、思い付きだけでは製品は出来上がらない。 アイデアや思い付きなら誰でも出来る。どうやってそれを形にしていくか?またそのアイデアを実現する為のチームや協力してくれる取引先があるかどうか?がとても重要だ。     そこで、まずRING JACKET Napoliのネクタイ生地を作ってもらっているCOMOのシルクプリントをやっているメーカーに確認をとりイラストをベースにプリント出来るかどうかを確認した。返事はOKだ! プリントするシルク生地の見本も送ってもらった。縫製工場のキャパも確認。 なんとか生産する体制はとれた!     [...]

2018 fall & winter shooting – 1

2018年 秋冬のビジュアルイメージ 撮影に行ってきた。 撮影スタジオではなく、前回に引き続きロケ撮影だ。スタジオで作り込んだ写真も好きだが、ロケならではの雰囲気がやはり良い。       特急電車でしばらく揺られた後、3両編成の単線に乗り換える。     のどかな風景が広がる。 『こんなところでドレスクロージングの撮影?』と訝しむ人もいるかも知れないが、、、 これまでとは少し違った撮影を行うことにした。                 前日ロケハン、早朝撮影に向けて前泊する。 東京から来た撮影チームと合流。                 緊張感のある撮影現場も好きだが、休憩時間の合間に話すふとした会話が好きだ。 『最初はスタジオ撮影だったけど、、、ロケになってだんだん過酷な撮影が増えてきましたね。』 少し笑いながら冗談まじりに話す。     カメラマンも笑いながらノッてくる。 『前回の砂丘撮影も結構大変でしたね。同業者からも噂になっていましたよ。 でもそれが楽しくなってきた。今回は、RING JACKET用に撮影機材を新たに買ってきました。』     『えっ?それは他社の撮影でも使える機材なんですか?』     『今のところ予定は無いですねぇ。でも何かいいかなぁと思って。』 タバコを吸いながら缶ジュースでも買ってきたような言い方で話す。     あぁ、明日は良い撮影が出来そうだ。 こういう時の直感は外れたことが無いのが密かな自慢だ。       最高のクリエイティブチームと向かうのは、無人島の廃墟跡。     [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.33 / ancient madder print ②

エンシェント マダーの使い手ROBERT KEYTE社の担当者が英国よりやってきた。 都内の某ホテルで打合せをする。     部屋に案内され中に入ると、ベッドの上に生地サンプルが山のように積み上げられている。 実は、この光景は見慣れている。日本支社を持たない生地メーカーは、こうやってホテルの一室で商談をすることが良くあるのだ。高級ホテルのスイートルームでやることもあり、普段見れない世界を垣間見ることが出来る。     簡単な挨拶を済ませて、早速本題に入った。     『anciet madder(エンシェントマダー)とは?』     色々と話を聞いているうちに、ぼんやりとしていたマダープリントの全容が明らかになってきた。     「ancient=古代の」とある通り、イギリス古来のプリント方法の一つ。 また、「madder=茜(あかね)」の事で、茜をはじめとした天然の原料を使って染色する草木染めの一種である。     天然の染料を用いて染めるので、天然ならではのナチュラルな色合いがある一方で、鮮やかで発色の良いカラーが出にくい。(現代の多くのメーカーは、天然染料ではない薬剤を使って発色の綺麗さを追求している。昔のイギリス タイメーカーやイギリス生地メーカーが少し沈んだ深い色合が多かったのはこれによるところが大きいと推察される。)     また、染料だけではなく生地にプリントする方法も昔ながらのハンドスクリーンで刷っている。 今、世の中に出回っているタイ用プリント生地の殆どがインクジェットプリンターによるものだ。機械によるプリントは、ムラや失敗も少なく安定した品質となっている。(あまり本件と関係ない蘊蓄だが…、インクジェット機のヘッドはエプソン製が大きなシェアを占めている) しかし、インクジェットは、生地表面にインクを吹き付けるので生地の表層部分にしか色が浸透しない。ハンドスクリーンによるプリントは手で刷って染料を浸透させるので、より生地の深くまで浸透しやすい。マダープリントならではの「深い色合い」は、この辺りにも理由があるように思う。     また、『抜染プリント』という手法も同時に用いられる。 これは、ある指定した部分だけ(柄の部分)染まらないように糊をつけて下染め(無地染め)する。その後、糊を落とした柄部分(染まっていない白部分)に先程のハンドプリントを施すのだ。   ※通常のプリントは白い生地の表側だけ色柄をプリントするので裏側が白くなっている。 一方マダープリントは、抜染で生地全体を染める工程があるので裏側も色がついているのが特徴の一つ。(近年、これを真似て裏側だけインクジェットで色をつけて、柄をプリントする表側は白生地に仕上げた“マダー風”も存在する)             上記のように、時代錯誤とも言えるような手間のかかる作業を経て出来るのがマダープリントだ。皆やらなくなった理由が窺い知れる。     効率を考えると、最新のインクジェットプリンターに取って変わられたのも仕方ないのかもしれない。 しかし、だ。効率や安定だけが素晴らしい商品だとは限らない。非効率であっても、コストがかかっても、何者にも代えがたい魅力ある商品が世の中には存在する。     これまでも、効率や時代の流れによって無くなってしまった伝説の逸品があった。   エルメスのダッフルコート生地を作っていたことで有名なMOORBROOKの3重織りパイルヘリンボーン生地。カールフロイデンベルグのボックスカーフ。古いブルックスブラザーズのボタンダウンシャツ用の生地を作っていたダンリバーオックス。80年代以前のアイリッシュリネン。ヴィンテージのトニック。リーバイスのコーンミルズ社デニム…等々、現在ではもう手に入らない。     マダープリントは、これらに並ぶ伝説の銘品となるように思う。(勿論、途絶えることなく続いて欲しいと切望しているが…) [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.32 / ancient madder print ①

『マダープリントとは?エンシェントマダーとは?』     昨今、英国ヴィンテージ調のプリントタイが人気だ。ファッション誌でも多く紹介されていて大きなトレンドとなっている。その中で、『マダー風の…』『マダー調のプリントが…』といった注釈や説明をよく見かける。 しかし、『マダーとは?』を正確に答えることが出来る人は案外少ない。     実は、数年前からこの『マダー風プリントタイ』と呼ばれるものを何度か目にしていた。PITTI(年2回フィレンツェで開催されるファッションの大型展示会)に出展しているネクタイメーカーが多く使っていたのだ。   そこで、 『これはマダープリントのタイなのか?』 と聞くと   『いや、正確にはマダーじゃあない。マダープリントはもう出来ない。あの雰囲気を再現したものだ。』     という回答が殆どであった。 ※殆ど…と言うのは、『マダープリント』を聞いても何の事か分からない人もいるのだ。     海外のとある人気ショップのバイヤーに聞いても 『マダープリントはもう出来ないって聞いたよ。今あるのは「マダー風」じゃあないかな?』 という回答だった。   『じゃあ、本当のマダープリントってどんな物なのか?』   、、、 今は出来なくなった?もしくは殆ど流通していない謎のタイ…という噂だけが一人歩きしていて正確な情報をもっている人に中々出会わない。 ネクタイメーカーに聞いても、昔ながらの手法でやっていたプリント方法で今は出来ないらしい…といったぼんやりとした答えだった。   色々手を尽くして調べていたが、噂話程度のものや先述のようなぼんやりとした情報にしか辿りつかなかった。そんな諦めかけていたときにふとした偶然で出会ったのが、英国の生地メーカーであるROBERT KEYTE社。おそらく現存するメーカーでは、世界で唯一エンシェントマダープリントをすることが出来る稀有な存在だ。       ある日、数年前に取引先の担当だった人が別の会社に移ったので挨拶にきていた。色々と商材を紹介してもらったが…、正直に言うといきなり取り扱うような商材は無かった。 だがふと、先輩に「出会いや縁というものを日頃から大事にしなさい。」とよく言われていたのを思い出したので『次回出張に行く際にはオフィスに寄らせてもらいますよ。』と言ってその日は別れた。   それから数週間後。出張先で商談をしていると次の打合せ先からアポイントを変更して欲しいと連絡が入った。すっぽりと時間が空いてしまったので、どうしようか思案していた際に先述の営業担当者の顔が浮かんだ。まぁ顔を見るだけでも、といった軽い気持ちでオフィスに向かったのだが…、この時の何気ない気持ちとちょっとした偶然が重なって新しい商品開発に繋がっていくとは夢にも思わなかった。 本当に『出会いや縁』は大事だ。   オフィスに着いて、また幾つか商材を見せてもらったが、前回同様に今すぐにどうこうするといった事はなく、少し世間話をして何となく帰ろうかと思っていると、 『僕はあんまり詳しく知らないんですが、別の部署で生地を扱っているので時間があったら少しみてもらえませんか?』と言われた。   生地は大好物である。時計に目をやると、次のアポイントまでまだ少し時間があった。 ジャンル違いの生地だと思っていても、時代が変わると使うようになった経験を何度か繰り返していたので余裕があれば選り好みせずみるようにしている。     奥から別の担当者が来て生地見本を机の上に並べていくのを眺めていると、 ある文字を見つけて驚愕した。       『Madder 』 [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.31 / RING JACKET Napoli-safari jacket ①

コロニアルスタイルの代表的なアイテムと言えばサファリジャケットを挙げる人も多いと思う。 ベルト付きのジャケットはここ数シーズン人気のディテールだ。     カジュアルなサファリジャケットをこれまでも何度か作ってきた。これまでの物もとても良い雰囲気だったが、『最高のサファリジャケット』を考えたときにこれまでとは違ったアプローチを思いついたのだ。   『ナポリ仕立てでサファリジャケットを作ってみてはどうだろうか?』 という思いが湧いてきた。   『ナポリならではのハンドを駆使したサファリジャケット。ナポリ テーラーリングを駆使するが、テーラード ラペルド ジャケットではないカジュアルサファリジャケットを!』     コンセプトは決まった。 後はナポリに行くだけだ。     ヴェスビオ山         ナポリと言えど、飛び込みで工房に訪ねていっていきなり無理難題を言ってやってくれるところはまず無い。 イタリアでのモノ作りは(特にナポリでは)、人と人の繋がりやコネクションが大きくものを言う世界である。     実は、少し前から幾つかの工房をあたっていた。 シャツ、タイ、パンツ…とナポリ企画で作っていたので、カジュアルジャケットもいつかナポリで…と思っていた。     とは言え先述の通り、いきなり訪問しても中々うまくいかないので知り合いから徐々に広げていく。     例えばシャツの打合せ中に 『知り合いで良いジャケット屋いないかな?』   『なんだ、ジャケットも探しているのか?ジャケットは知らないけどパンツなら良いヤツ知ってるぜ。』     と紹介してもらって見に行く。     パンツ屋でも 『知り合いで良いジャケット屋いないかな?』と聞くと   『ジャケット屋か…。良いところ知ってるぜ。けど、あそこはクオリティは抜群だけど納期はガタガタだ。ネクタイ屋なら知ってるぜ。』     、、、といった具合にすぐに辿り着くことは稀である。 そして出会ったとしても紹介してもらった先が必ずしも良いクオリティとは限らない。 気長に少しずつ輪を広げていく。       そんな作業を繰り返しているときに とある工房に出会った。 [...]

raglan sleeve coat

                  昨日紹介させてもらった『服の向こう側』コットン ラグランコート。   実は、凝った裏地を使っている。 安価なものはポリエステル素材。高級なものでキュプラを使うのが一般的だが、あえて『コットン×キュプラ』素材を使っている。     キュプラ100%は滑りもなめらかで良いが、、、 コットンのラグランスリーブコートにはピカピカした感じが少し強すぎるように感じる。 そこで、コットンコートならではの程良いカジュアル感に最適な裏地を探した。     マットな質感とアジがあって非常に良い雰囲気である。 コットン100%の裏地にすると滑りが悪く着用し難いが、キュプラならではの滑りの良さとコットンのアジの両方を備えている。 あまり知られていないが、裏地はmade in Japanが世界を席巻している。     キュプラ100%の裏地と比べて少し膨らみ感がある。袖の膨らみも通常はもう少しストンと落ちるところが『ふわっと』した感じに収まるのも良くて気に入っている。   とても雰囲気がある裏地だ。     殆ど誰も気が付かないような『微差』にこだわってもるのも面白い。                        

COLUMN 『服の向こう側』 vol.30 / cotton raglan sleeve coat

「スプリングコートは着る期間が短い」 このフレーズをよく耳にするが本当だろうか?     『スプリングコート』というこの呼称によって誤解が生じているように思うのは私だけではないはずだ。 真冬用のウールコートの出番は概ね12月中旬~下旬から始まり2月下旬までである。二か月と少しだ。   その一方で、コットン素材のコートは 10月後半~12月中旬、そして3月上旬~4月中旬位だろうか。トータルの着用期間は、年間にして三か月以上だ。 実際に着る期間はコットンの薄手のコートの方が長いのである。しかも、春先+秋口~冬、、、といった感じでシーズンを跨いで着用するので活躍する機会も多い。   実は、コットンコートこそ長く着用できる良い物が必要なのではないだろうか。     オンオフ兼用で使いやすいラグランスリーブ型のコートは、スーツスタイルに合わせるだけでなく「洗いざらしのシャツ+チノパン+スニーカー」といったスタイルにも相性が良い。 コットンコートをラフなスタイルに合わせるのも今の気分である。     さて、そんな使い勝手の良いコットンコートの中でも少し趣向の違った2着を仕込んでみた。                 CASHCO(カシコ)と呼ばれるカシミア混のコットンを使っている。触ったタッチが抜群に良い。 少しだけ微起毛したような表面感もラグジュアリーな雰囲気だ。     年二回ミラノで開催される生地展示会でこの生地を選んだときに営業担当者から笑いながら言われた。     『こんな高いコットンを喜んで使うのは、日本ではあなたの会社くらいですよ。』   『確かに高い。似たようなコットン素材も沢山あるけど、どこか違う。どう違うんだろうか?』   『いやぁ、言葉で説明し難いですね。コットンにしては高過ぎてあんまり売れないんですが、、、好きな人は、この独特のタッチが好きですねぇ。』   『良いものは高いという事でしょうか?「万人受けはしないが、服好きにこそ響く素材」ってウチと相性良いんです。』   そう言ってその場での打合せを終えた。     日本に帰ってからも暫くこの生地の事が頭から離れなかった。 同じシリーズのカシミア混のコットン生地でスーツを作ったことは何度かあったが、コートにしたことは無い。 ここ数年、薄手のコートと言えば、コットン素材のコートよりもポリエステルやナイロンなどの合繊素材のコートが主流であった。 しかし、そういった合繊素材のアウターは多く出廻っていたし、何より新しい提案をしたかった。それと、天然素材ならではの素材感に今一度フォーカスを当てたかったので敢えてこの素材を使うことにした。     この素材の特徴としては、やはりカシミア混コットンならではの風合いが挙げられる。しかし、「カシミア混のコットン素材」自体は、実はそんなに珍しくはないのだ。 幾つかの生地メーカーでやっているのを何度か見たことがある。しかし、このCASHCOとは全く違った風合いなのだ。     [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.29 / ilish linen safari jacket

完璧な商品など存在しない…、 と思っている。     何かを優先すれば、その分犠牲になるものがある。 ハリコシのある英国製の生地で作られたスーツは仕立て映えするが、重く身体に馴染むまで時間がかかるものが多い。その反対にイタリア製の柔らかな生地で作られたスーツはしなやかで馴染みやすいが傷みやすく耐久性としては劣る。   メリットとデメリットは、共存しているとも言える。どちらにフォーカスを当てて楽しむか?がポイントだ。     そんなメリットとデメリットが最も分かりやすい物の代表として『リネン ジャケット』が挙げられるだろう。   シワになるのが嫌だ…、という意見をよく耳にするが、リネンのジャケットが無くなることはない。何故なら、それがデメリットではなく『リネンにしかない独特の存在感。何とも言えないアジ』がそこにあることをいつの時代の服好きも知っているからだ。     ただ闇雲に「リネンであれば何でも良い」という訳ではない。 服好きの心を捉えて離さない特別なリネンが存在する。そう、アイリッシュリネンだ。 アイリッシュ リネン自体は良く耳にするフレーズだと思う。しかし、何故アイリッシュリネンが良いのか?また、アイリッシュリネンの中でもどんなアイリッシュリネンが良いのか?を説明しているのをあまり見たことがない。     RING JACKETでは、古くから使っているアイリッシュリネンの生地メーカーがある。 アイルランドのSPENCE BRYSONだ。 イタリアの薄く柔らかなリネンとは違い厚くヘヴィなリネンを織っている事で有名。しかし、あまり知られていないが、ここでも薄いシャツ用のリネン生地からヘヴィなリネン生地まで幅広く作っている。RING JACKETでは、その中でも目付のしっかりとした『これぞ、アイリッシュリネンだ!!!』というタッチのものを厳選して使っている。     それがどんなリネンか?一言で表すと、、、 『大皺は入るが小皺は入らない』リネン。 薄く柔らかいリネン素材だと小さいシワが無数に入る。実は、これがリネンのシワが安っぽく見えてしまう原因の一つだと思う。 それに比べ、上述のヘヴィなリネンだと『ボコッ、ボコボコッ』とした大きな凹凸のあるシワが入る。これが実にアジがあって良い。このシワこそ服好きが愛するリネンだ。               ヘヴィなアイリッシュリネンを用いて作られたベルテッド・ジャケット。 今季のテーマカラーであるGREENというのも洒落てる。良くあるミタリーアウターとはまた違った雰囲気だ。             クラシックなディテールの一つ。背中のアクションプリーツ。 実は、数年前からRING JACKETならではの視点で作られるカジュアルアイテムが密かに人気だ。1910年代のPコートを独自の解釈で復刻したPコートや、ワークやミリタリーといった要素とドレスパンツをミックスしたチノパンなど…隠れた人気商品が幾つもある。 「大量生産してコストを抑える手法より、少量でもコダワリの詰まった商品」をベースの考え方にしているので彼方此方で見かけるという商品ではないが服好きにこそ響く商品群だと思う。       大皺は入るが、小皺は入らない」ヘヴィ・アイリッシュリネンを使ったベルテッド・ジャケット。 [...]

tab collor shirt

london撮影もして『気分は英国』。     昨日の『服の向こう側』では、british flavorを感じさせるターンナップカフスと3釦カフス、そしてロングポイントの新襟型(model-CHIAIA/キアイア)を紹介させてもらったが、タブカラーも仕込んでいる。     数年前にもタブカラーを作ったことがあったが、当時のはショートポイントで衿先がラウンドしたタイプ。 今回は、よりクラシカルな雰囲気にしたかったので、衿先が長いタイプにした。   衿の長さ違いで数パターン試作を作成した中で一番しっくりきたのが今回のタブカラーだ。     カフスは先細り型のナポリタイプ。 イタリア×イギリスのミックススタイルが今の気分である。                     ITEM : SHIRT / RING JACKET Napoli ART : 59108S18W PRICE : 36,000- YEN +tax COMPOSITION :  COTTON 100% SIZE : 37 . 38 . 39 . 40 . 41 . [...]

COLUMN 『服の向こう側』 vol.28 / British×Napoli shirt ②

クラシックな英国シャツのディテールを取り入れた柔らかなナポリシャツを作ることにした。 相反するような要素をミックスすることで、これまでに無い雰囲気のシャツが出来上がる。     しかし、いざ試作を製作しようとすると幾つか問題が出てきた。 ナポリのシャツ工房でターンナップのカフスがなかったのだ。 じゃあ一から作ろう!となり、私自身が10数年前に某カミチェリアでスミズーラしたターンナップカフスのシャツを持ち込んで幾つかの修正を加えて出来上がったのが今回のカフスである。               長さ、芯地、ターンナップの返り方、、、 等々修正を繰り返して出来た苦労と思い入れの詰まったカフス。 実は、シャツ工場で持っている襟型やカフスの型紙をそのまま使うブランドが多い。勿論、それが目指しているデザインであれば全く問題ないのだが…、色々と凝りだすと中々そうはいかない。 この部分がもうちょっと長い方が…、ここはもう少しカーブをつけて…、とどうしてもやりたくなってしまう。 凝りすぎだろうか?と自問自答することもあるが、思い付くと止められない性格みたいなので思いつかなくなるまでやってみることにしている。           少し衿先が長くタイドアップしたときに良い感じにネクタイが収まる この襟型も新たに作った。     15~20年程前のクラシコイタリアブームが起きた際、現在と同じように『英国が気分』として英国生地であったり英国調のディテールに注目が集まっていた。 その当時、ナポリ随一の某クロージングブランドもやはり英国を強く意識したシャツを作っていて、『イタリアから見たイギリス』的なシャツは、とてもシックで洒落ていた。今の気分と相まって、そのシャツに強く惹かれた記憶が鮮烈に蘇ってきたのだ。     イタリア的な衿が大きく開いたカッタウェイカラーの人気が落ち着き、衿の開きが狭いものが注目されてきている。 まさしく、今の気分な衿型だ。   衿のステッチ幅は、前回同様に7mm。 5mmでもなく1mmでもない。一般的なシャツは5mm幅のステッチだが、2mmだけ太くすることによって衿元の表情が全然違ってくる。 何度も何度も試作して辿り着いたRING JACKET Napoli仕様である。 ナポリの工房で、6mm、7mm、8mm、9mm、、、とサンプルを作ってもらい並べて検討したのが懐かしい。職人も最初は呆れていたが、次第にノッてきて一緒になって議論したのが昨日のことのようだ。           『今の気分』にハマる良い衿型が出来たと思う。   ナポリのサルトリアが連なる通り名をとって『CHIAIA(キアイア)』と名付けることにした。       ターンナップカフスとの相性も抜群だ。チラリと何気ない仕草のときに袖口からのぞくカフスの雰囲気が何とも堪らない。 ダブルカフスシャツも好きなのだが、面倒臭がりな性分なのでカフリンクスをするのが億劫に感じてしまうことがある。その点、ターンナップはシングルカフスには無い独特の雰囲気がありながらサラリと着用できるのが良い。   [...]