『RING JACKET / fabric guild 』 vol.8 / fox brothers – king of flannel

    fox brothersの代名詞でもあるフランネル。 フランネルの元祖と呼ばれるだけあって素晴らしいクオリティだ。     正直言って他社のフランネルより高い。が、一度着ると病みつきになるから不思議だ。   先日fox brothersの社長が来日した際に言っていた言葉が耳に残っている。   『fox brothersのフランネルは、独特の雰囲気を持っている。安くは無いので扱えるブランドも限られてくるが…、使って頂いたブランドは皆喜んでくれる。好きな人達に少しずつ使ってもらえれば良いよ。』     本当に好きなモノを妥協せず作っているのがひしひしと伝わる。 またfoxが好きになった。foxの生地を使ったジャケットをもう一着買おうか目下悩み中である。                        

『RING JACKET / fabric guild 』 vol.7 / trabaldo togna – estrato

  魅惑の生地の世界について語る『fabric guild』vol.7は、イタリアのtrabaldo tognaのestratoについて書きたいと思う。 これまで、生地好きが唸るような少しマニアックな英国生地を中心に紹介してきた。ハリコシのある英国生地はスーツやジャケットを仕立てるのに適している、、、 が、独特なタッチや雰囲気により好き嫌いがあるのもまた事実である。     私はと言うと、実はどちらも好きだ。英国生地、イタリア生地、そして日本の生地…其々に良いところがあり甲乙つけがたい。『生地』そのものを愛しているでどれかだけを選ぶなんて出来ない。強いて言うならば、生産国によって好き嫌いがあるのではなく、そのミル(機屋)ならではの魅力や個性があるところが好きだ。         今回のtrabaldo tognaのestratoシリーズはとても特徴がハッキリしている。 いわゆる「ナチュラルストレッチ」に特化しているのだ。ドレスクロージング好きの中にはストレッチ素材を敬遠する人もいる。私自身はゴリゴリの英国生地も好きだが、こいいったストレッチ素材も嫌いではない。   これまでストレッチ素材が嫌われていた原因は、化繊であるポリウレタンを入れることによってストレッチ性を出している生地が殆どだったからだ。本当は、混率や糸の作り方にもよるので一概に言えないが、、、ポリウレタン混のストレッチ素材は最初は良いが次第に繊維が劣化して伸びたまま戻らなくなることがあったのだ。 それと、やはり本格的なスーツは天然素材100%でないと、、、という昔からのイメージが根強くあり「ストレッチ素材=スポーティなジャケット向き」とされていて高級ファブリックメーカーはあまり手掛けていなかったのも服好きに受けなかった原因の一つであるように思う。     しかし、ここ数年でイタリアを代表する高級ファブリックメーカーの多くがストレッチ素材を展開するようになった。むしろやっていないメーカーを探す方が難しいくらいである。   その中で早くから「ウール100%でのナチュラルストレッチ加工」に特化してきたのがtrabaldo tognaのestratoシリーズだ。やはり、他社が後追いでやってくる前から試行錯誤してきただけに一日の長がある。 スーツやジャケット用の生地は一般的に150cm幅で織られることが多い。「ナチュラルストレッチ加工」は、敢えてそれより幅広に織って、最後の仕上げで縮めて150cm幅に仕上げるのだ。そうすることによってストレッチ性を出す方法である。 しかし、estratoはそれに加えてまだ秘密がある。 自社の契約しているエージェントにさえ見せないという門外不出の仕上げ工程により、素晴らしく伸びる!                 super120′s woolの程良く上品でありながら繊細過ぎずデイリーユースに使えるクオリティも良い。 イタリア生地ならではの色出しと程良い艶が良い雰囲気だ。     上品で、動きやすくストレスフリー、、、 しかも天然素材100%     多くの人にお勧めできるスーツである。         ITEM : SUIT / RING JACKET [...]

『RING JACKET / fabric guild 』 vol.5 / Kynoch – worsted twist suiting

今回のコラム『fabric guild』はKynoch(カイノック)について書きたい。     以前にも書いたが、メランジと杢を混同している人が多いが実は別物である。そんな杢の表現が抜群に上手いメーカーの一つがこのkynochだ。         イタリアの生地メーカーと比べると英国の生地メーカーの方が太い糸を使う場合が多い。杢糸とは、別々の色糸を撚り合わせていくので細い糸だと繊細な表情に、、、太い糸だと粗々しい表情に、、、といった風に仕上がる。   勿論、kynochは粗々しい表情の生地が得意だ。特にスーツ。 表面が均一な色目ではなくチラチラと色糸が見え隠れする。少しクセがあり好き嫌いが分かれるところだが、この表情が好きな人には堪らない。   太番手の杢使いなので当然ウェイトも重くなる。395g/mだ。 少し前なら400gくらいのコートも多くあったので、コート生地に肉薄するスーツ地とも言える。     『重い』と思うかもしれないが、RING JACKETならではの仕立てで着用した際に重さは殆ど感じない。 ある程度のウェイトがある方がスーツは仕立て映えがして良い。軽い生地は軽やかで良いがスーツ本来のドレープや立体感を損なう恐れがある。   完全な焦げ茶ではなく少しだけ浅いブラウンなのも秀逸である。                 ITEM : SUIT / RING JACKET MEISTER ART : RT028F63F MODEL : no.253EH / s-172H PRICE : 190,000- YEN +tax COMPOSITION : WOOL 100% SIZE :   [...]

『RING JACKET / fabric guild 』 vol.4 / Lovat mill-teviot tweed-gun club check

  スーツやジャケットに於いて最も重要なファクターの一つである“生地”。 一言で生地と言っても其々に特性があり様々な魅力を秘めている。人によっては駄目な生地でも、違う人にとっては堪らなく好きな生地である場合もあり、その多種多様性についついのめり込んでしまう服好きは多い。そんなハマってしまうと抜け出せない「魅惑の生地の世界」を綴るのが当コラム『fabric guild』である。     今回は、スコットランドのLovat millのteviot tweedについて書きたい。 何年創業で、、、という様なお決まりのブランドストーリーは当コラムでは割愛させてもらっている。検索エンジンで探せばすぐ出てくるような情報はここでは必要ない。そんな事より、『どんな生地なのか?』『何故、この生地を使おうと思ったのか?』の方が重要だと思うからだ。         LOVAT MILL teviot tweedの特徴をズバリ一言で表すと『田舎臭い』だ。 少し言い方が乱暴過ぎたか? 良く表現すると『スコットランドの田園風景をそのまま形にしたような朴訥として素朴な生地』といったところだろうか。     しかし、いくら素敵な言いまわしをしてもチェビオットツイードならではののゴリゴリ・ザラザラするタッチは変わらない。 ハッキリ言ってこの雰囲気と手触りが好きかどうか? それだけだと思う。     嫌いな人はどう頑張っても好きになれない。でも、それで良いのだ。万人に受けることを狙った生地ではない。 そこが良いのだ。     その代わり、好きな人はもうどうしようも無いくらい好きな生地である。チェビオット種の羊ならではののザラリとした質感、430g/mというしっかりとしたウェイト、グリーン・ベージュ・ブラウン…といったカントリーカラーで構成されたチェック柄。完璧である。     、、、 とここまで褒めてるのかけなしているのか? といった内容だったが、「トレンド」としてのコメントもしておこう。 英国調がキーワードの昨今、その中でも今期はカントリー調が旬である。クラシックなドレスクロージングの世界でもこういったカントリー調のチェック柄をモダンに着こなすのが人気だ。 ひと昔前だと「オジサン臭いジャケット」と言われていた色柄こそ1周廻って新鮮に映るようになってきた。     勿論、昔のまんま、、、 ではなくフィッティングに加えて、肩パッド無しののコンフォータブルな仕立てなど現代的な要素をミックスするのが肝なのは言うまでもない。     少し前まで「オジサン臭い…」と言われていたようなジャケットを颯爽と着る。右に倣えの無難な着こなしが多い中で、一歩先を行くスタイルは、廻りの人達をハッとさせるだろう。 そんな意外性のある着こなしこそファッションの醍醐味の一つではないだろうか?                 [...]

『RING JACKET / fabric guild 』 vol.3 / Savile Clifford

  英国のSavile Cliffordという生地メーカーを知っているだろうか?     実は、個人的に好きな生地メーカーの一つだ。 英国ならではの匂いを感じさせてくれるのが好きな理由の一つ。特にスーツ生地が良い。       「英国の生地メーカー=質実剛健」といったイメージがあると思うが、、、 実際は、super 180′s~200′sなどの高級ゾーンで薄くしなやかな生地を多く打ち出しているメーカーが思いのほか多い。分かりやすい富裕層向けブランドにはそういった生地が受けるのだとは思うが、個人的にはあまり興味がない。 人其々に価値観があり評価が分かれるところだが、、、高級な生地が必ずしも良い生地とは限らないと思っている。 この話は長くなるのでまたの機会に。     Savile Cilffordに話を戻す。 派手さは無いが、昔ながらの英国生地に対するイメージを裏切らない。 そんな生地を多く取りそろえるのがSavile Cliffordだ。     イタリアンクラシックの某重鎮メーカーも同じ理由かどうか分からないが、生地展示会で生地を見ていると偶然隣の商談席に座っていることがよくある。 日本マーケットでは、Fox brothersやW.Halsteadなどの方が認知度が高いが…、それらと比べても遜色ないクオリティだと思う。           ウェイト320g/mで適度な重みがメリハリのあるスーツを作る。     シックなブラック&ホワイトのグレンチェックに レッドのオーバーペーンが効いて絶妙な雰囲気になっている。     『英国=パッとしない大人しい色柄』と思われがちだが、こういった渋いグレンチェックにハッとさせられるようなカラーのペーンをきってくるのもまた英国である。     今季のディレクションテーマである『ビッグパターン』スーツでもあり、お勧めの一着だ。                   [retail] ITEM : SUIT [...]

『RING JACKET / fabric guild 』 vol.2 / Marling Evans-bric check

半年に一度ミラノで生地の展示会がある。 Milano Unicaだ。シャツ生地から合繊、ウール…様々な生地メーカーが集まる一大イベントで世界中のブランドのデザイナーや企画者が集まり次シーズンのコレクションで使う生地をセレクトするのだ。     多くの生地メーカーの中から何百~何千といった生地をみて吟味するのだが、みた瞬間に『コレだ!』と思う生地に出会うことがある。       その中の一つがこの生地だ。       英国のMarling Evans。 今季のテーマカラー『bric brown』(レンガを彷彿させるブラウン)のチェックが洒落ている。 この生地でスーツを作った。                 Marling Evans というと昔からの服好きにはジャケット用生地のメーカーというイメージがあるかもしれない。しかし、ここ数シーズンでスーツ対応の生地を作っていた。面白いな…、と思いながら実際に使う機会がなかったのだが、この色柄にはヤラれた。   抜群に格好良い。     しっかりとした質感ながら英国生地にありがちなザラつき感がない。 そして、杢糸の表情が素晴らしい。 ※メランジと杢糸とを混同している人が多いが、別物である。簡単に言うと、トップ染めした霜降り糸がメランジで、杢は色違いの糸を撚り合わせた糸の事を指す。 メランジ(霜降り)は自然な色ムラになるのに対し、杢はより大胆にムラがでる。(勿論、霜降りの作り方によってムラが大きくでるように作ることも可能だが、一般的に、、、という事で)                 生地の大きな流れとして「英国調」が挙げられるが、その中でも少しカントリー要素を含んだものが旬と言えるだろう。 しかし、『カントリージェントルマン』と言えば聞こえは良いが、コスプレ的な格好はいただけない。あくまで『ブリティッシュ カントリー フレイバー』を感じさせながら都会的でクリーンな着こなしがお勧めである。           ITEM : SUIT / [...]

『RING JACKET / fabric guild』 vol.1 / Loro Piana – pecora nera

2018年 秋冬シーズンのディレクションテーマ『bric brown』。 レンガを彷彿させるブラウンをテーマカラーとしているのは何度か触れさせてもらった。     それ以外にもディレクションテーマがある。『ビッグパターン』『ナチュラルカラー』がそうだ。   そこで、今回紹介したいのがこの生地。           ブラウン×オフホワイトの大柄のグレンチェック。 かなり大柄のグレンチェックで通常のジャケット生地ではなかなか無い柄である。一般的に柄を大きくしようとすると糸を太くする必要がある(柄自体を大きくせずピッチを広げて大きくする手法もあるが…)。糸を太くするということは、目付(ウェイト)がついてくる。     実は、この生地もウェイトは500g/mで本来コート用の生地である。ここ数年は軽いコート地が人気(400g~450gくらい)だったので、、、コート生地の中でも重い方に入る。それを敢えてジャケットでやってみたのだ。     しかし、『重い』と言われることはほぼ無い。     『ウェイトのある生地を使っても軽い着心地になる』 RING JACKETらしいジャケットとも言える。 ※RING JACKETで一番軽い仕立てであるno.278モデルというのも重さを感じさせない理由の一つだ。       ビッグパターン以外にもナチュラルカラーを挙げていたが、、、 まさにナチュラルカラーそのものなのがこの生地だ。         Loro PianaのPECORA NERAというシリーズの生地を使っている。 羊の原毛そのものの色を活かした生地で、このシリーズは『オフホワイト、ベージュ、ブラウン、ダークブラン』のみで色柄が構成されている。羊から刈り取ったナチュラル(自然)な羊毛のカラーで出来上がった生地なのだ。     通常は、糸にする段階で調合した染料を使って染めていくのだが、、、 その工程を敢えて省きナチュラルなカラーを表現している。   ※羊毛そのもののカラー「オフホワイト、ベージュ、ブラウン、ダークブラウン」のみで構成。ナチュラルで暖かみのある表情だ。       このundyed woolを使う手法自体は以前からあったが、どちらかと言うと英国メーカーが得意としており、刈り立ての原毛で脱脂もせずゴワゴワの風合いを残している荒々しいものが多い。イメージとしてはガンジーニットやインバーアランなどの古いフィッシャーマンセーターのような風合いと言えば分かりやすいだろうか?     そこは、流石イタリアを代表するファブリックメーカーであるロロピアーナ。英国メーカーがするツイーディな英国羊毛による原着色undyed [...]

[fabric guild] vol.0

  これまで、意図的に生地について深く触れるのを避けてきた。 理由は二つある。     15年程前だろうか?多くのブランドやアパレル企業が生地メーカーのタグを袖口につけて販売することで購買に繋げようとしていた。ある一定の成果は出たものの…、意図とは違う認識をする人達が多くなってしまった。『この生地メーカーなら大体このプライス…。』といったように使っている生地メーカーによってプライスレンジのイメージがついてしまったのだ。 実際は、同じ生地メーカーであっても生地によってプライスレンジの幅も違うし、縫製仕様やデザイン…諸々によって製品のプライスは変わってくる。 そういった誤解や間違った認識を避ける為、RING JACKETでは基本的に袖口に生地メーカーのタグをつけて販売しない方針にしたのだ。     あともう一つの理由としては、生地についてマニアックなブログを書くと「生地オタク化」「服オタク化」するのが嫌だった。当ブログでも何度か触れたことがあるが、コラム『服の向こう側』などではファッション業界人でさえ知らない深い話を書いていることもある。実際に同業者から『いつも楽しみにしています。ファンで熟読していますっ!』と何度も言われたことがある。 そういった人達は私のことを『マニアックな知識を持っているかなり特殊な服飾偏愛家』と思っている人が多いが、実は全く違う。 服は、『見て、手に取って、着たときの感動が全て』と思っている。マニアックなディテールや知識はどうでも良いのだ。ただ、この仕事をやっている以上、追求するところは徹底的にやろうと思っているだけである。     なので、あまりマニアックなブログ内容で一部の人達だけに喜ばれるより『着ることの楽しさ』や『ワクワクドキドキする感じ』を多くの人達に伝えたいのが本音だ。そこで、ここ2~3年は『如何に格好良くて、ワクワクドキドキするか?』を伝える手段としてヴィジュアルイメージの作り込みや写真のクオリティアップに力を注いできた。       上記の理由により、生地について深く触れないようにしていたのだ。 だが、『RING JACKETは、モノ作りにこだわったブランドなので…、もっと「生地」や「作り」などの話をしていっても良いのでは?』『多くのブランドが乱立している現代においてRING JACKETならではの強みをもっと打ち出しても良いのでは?』、、、 という声が多くなってきた。       そこで、これまでのコラム『服の向こう側』が、服が店頭に並ぶまでのバックストーリーを中心に綴るのに対し 「生地」そのものにフォーカスした『fabric guild』というコラムを不定期で書いていくことにした。サラリとした内容のこともあれば、深く掘り下げることもあるかもしれない。気分次第ないい加減なコラムだがお付き合い頂ければと思う。     今季のディレクションテーマとも併せてこのビッググレンチェックのことを紹介したいと思うが、、、 長くなったので詳細は次回に。