Fuji Sankei Business i 連載開始

こんにちは、HP担当の奥野です。

フジサンケイ・ビジネスアイをご存知でしょうか?10月1日より新しく生まれ変わった新聞です。タブロイド版・全ページカラー・横書き・文字も大きめと新聞業界では斬新な切り口となっています。

内容も既存の経済新聞ほど堅くなく、ある意味雑誌的な編集の仕方で「新聞」=「堅い」といったイメージを払拭しており非常に読みやすいです。

そのフジサンケイ ビジネスアイで連載が開始することになりました。「FASHION VICTIM」(ファッション中毒者、ファッションにのめり込んでいる)という題でリングヂャケットの物作りのこだわりやファッショントレンドを紹介していきます。

毎週土曜日掲載です。兄弟誌のSANKEI EXPRESSでも掲載予定となっています。是非ご覧下さい。

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Fashion Victim  ハンドメード魂を受け継いで

 「ファット・ア・マーノ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。イタリア語でハンドメード(手仕事)を意味する言葉で、今までイタリア出張時に幾度となく聞いてきた言葉です。

 世界最大規模のメンズファッション展示会ピッティ・イマジネ・ウォモやミラノコレクションなど、最先端のファッションが集まり、そして発信される国イタリア。そのきらびやかな世界を裏側で支えているのが熟練した技術を持つ職人たちです。

 そんな職人たちをまとめるオーナーはバイタリティーにあふれ、非常に個性的な人物が多いです。型破りな人物から実直な人物までさまざまですが、彼らに共通することがあります。それは職人を家族のように大事にすることと、モノ作りに対するプライドを非常に強く持っていることです。

 商談時に商品の説明を受けていると、「ファット・ア・マーノ!」と皆必ず言い、そしてニヤリと笑うのです。ハンドメードの醸し出す柔らかい雰囲気とその技術に愛情を注いでいるのが、こちら側にもひしひしと伝わってくるのです。

 最近は、ハンドメードという言葉が雑誌などでよく使われているので聞き覚えのある方も多いかと思いますが、ハンドメードは思ったより簡単ではないのです。

 コストや手間も当然通常のものよりかかってきますし、技術習得も大きな問題です。簡単な流れ作業で作られる服は、特別な技術を必要としないので誰が作ってもさほど大きな違いが生まれません。しかし、ハンドメードを駆使した服は相応の技術と経験のある職人でないと作ることができないのです。そして、そういった職人の手によって作られる服は、なんとも形容し難い独特の雰囲気が漂っています。少し大げさかもしれませんが、オーラをまとっているように感じます。

 そこには、単純に技術というだけでなく服ができ上がるまでにかかわったすべての人々の情熱が注がれているからではないでしょうか。

 私が勤めるリングヂャケットはそんな魂のこもった服作りを日本で始め、50年以上の月日がたちました。イギリス、アメリカ、イタリア…世界中の服を研究しました。パターン(型紙)を何度も修正し、芯(しん)地、縫い糸、ボタンなどの副資材も既製品で納得のいくものがないときは特別に一から作りました。また、ときには海外まで赴き、手に入れることもありました。

 こうした試行錯誤、積み重ねた技術の研鑽(けんさん)、服の細部まで込められた情熱によって、海外の模倣ではない日本人が作る日本人のための服が形になってきました。

 しかし、まだまだ改良の余地はあります。おそらく「完成」することはないでしょう。なぜなら、より高みを渇望する者だけが、本当に良質な服を作ることができると信じているからです。

 イタリア人に弊社の服を見せ、「ファット・ア・マーノ」と言いニヤリと笑う日も近いかもしれません。

 これからモノ作りのこだわりと、時代の気分を取り入れたリングヂャケット流服飾術を、「Fashion Victim(ファッション中毒)」の方々にご紹介していきます。(リングヂャケット クリエイティブディビジョンマネージャー 奥野剛史)

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フジサンケイ ビジネスアイ 2008年10月4日(土)より抜粋

ウェブだと画像付で見れます。

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