RINGオリジナル パンツ
こんにちは、HP担当の奥野です。
今回は、RING JACKETの単品ウールパンツをご紹介させて頂きます。スーツ・ジャケットにばかり注目されがちで意外?!と知られていないけど、実はハイクオリティな仕上がりです。
日本のマーケットでのパンツは、インポートのパンツメーカーに人気が集中してます。ブランド?という訳ではないですが、「インポート>国産」的な風潮がやや強いような気がしますね???
スーツは国産も海外製品に負けてない。メイド・イン・ジャパンは素晴らしい!!!…と言われますが、単品パンツとなると途端にインポート至上主義?!になるのは何故でしょう?ジャケット単品じゃなく、スーツなので組下パンツ付いていて評価されているんですけど、、、
海外のパンツをいくつもバラし、研究し精度を上げてきました。パターン・付属・生地・仕様、、、etc。ウンチクは沢山ありますが、そんな事はとりあえず置いといて…綺麗なシルエットのパンツです。
最近は流行だから…といった理由でテーパードがきつく裾幅がかなり細いパンツが人気ですが。。。
背が高く足がスラッと長い欧米人が履けば格好良いですが…、日本人だと短足に見える可能性大です。安易に飛びつくと危険です。知人のショップでも、雑誌等で人気なのでお客様がブランド指名買いで来られるそうですが、試着すると…シルエットは???。喜んで買っていかれるので、無理に止めることもできず…。と苦笑いしてました。
流行も大事ですけど、体型にあうのが大前提だと思います。なのでリングのパンツも極端に裾幅を細くはしていません。ヒザからスーッとキレイに落ちるラインです。この方が足が長く見えスッキリとしたシルエットになります。
フレアまでいくとやりすぎです。かといって細すぎると…。この匙加減が難しいです。
(全体のシルエット。)
大まかな特徴というか、コダワリを少々。
前身がスッキリしています。従来の日本のパンツは前身の分量が多くとってあるのが通常でした。ゆとり分量が多く下腹部のふくらみにも対応できるのでこのパターンが重要視されたのだと思いますが、あまり現代的なシルエットではありません。また座ったときに下腹部辺りのシワや膨らみが大きくなり不格好でした。インポートのパンツを研究すると多くのパンツが従来の日本のパンツより前身の分量が少なく、後身(ヒップ~サイドにかけて)の分量をとり、そのかわりきれいにカーブさせ腰に沿わせるようにしていたのです。
(文章だと分かり難いですかね?我ながらいつもマニアックなブログで、何人くらい本当に喜んで見てるのかな?と心配になります。。。)
「カーブさせる」と簡単に書きましたが、これが結構大変です。通常パンツには帯芯といってベルトを巻く部分の生地の下に芯地を入れます。これが日本だと良いのがなかなか無いんです。色々試しましたが曲げやすさや芯地の厚み・堅さのバランスがとれたものがみつかりません。
仕方ないので、ドイツの芯地メーカーの物を使ってます。大きいロールになるので、ウチのパンツの帯幅に合うようカットしてます。バイアスにカットし芯地を曲げやすく加工して使っています。最近もコレに代わるものを探して試作してみましたが、やっぱり上手くいきませんでした。
この芯地を使う事によって、腰に沿いカーブする形にしていきます。
アットリーニやキートンもイタリアのベルテロ社以外にドイツの芯地メーカーを使っていると聞いたことがあります。
ちょっとわかり難いですがフロントよりバックの方がせり上がっているのが分かりますでしょうか?
ただ、この前後の高低差が沢山あれば良いという訳ではなくて(たまにコレがあるのが良いパンツの代名詞!的な感じで雑誌等に書かれていることもありますが必ずしもそうではありません。)、ヒップや尻ぐり前身や渡りなどのバランスにもよるので一概にも言えません。
チノパンのときにも書かせてもらいましたが、人体に沿うよう立体に仕上げた服を平面(畳む&ジャケットの場合平面に近いハンガーにかける)におくとシワや膨らみが出ます。
腰回りのフィット感は、前身が小さく、後(ヒップ)からスゥーッと包まれるような履き心地というと分かりやすいでしょうか?
あと、特徴というか良いパンツの条件の一つなのですが、
センターがきっちりと通っていることです。
センタークリースがキッチリと真っ直ぐ入っていて、履いた時にヒザの中央を通り、足の指の中心からやや内側(親指の付け根辺りにかけて)に向かってピシっと入るよう仕上げています。
※もちろん既成品なので、全ての体型に合うという訳ではありませんが、基本体型の方には綺麗に履いて頂けるよう完成度を高めています。
案外ココが出来ていないパンツ多いです。パターン上ではやっていても縫製の段階で地の目がずれてたり、つったり、たるんだりするとズレてしまいます。
売れているから?!といって工場のキャパ以上に生産を詰め込んだり、厳しい納期だったりすると荒れる場合があります。急に人気が出たブランドに良くあります。
思い当たる方もあるのでは?「すごく良い!と噂を聞いて買ったけど今一つだった…。」といった場合はコレが原因かもしれませんね。
ちょっと話がそれました。。。
RING JACKETのパンツの基本概念の次は、ディテールにスポットを当ててみましょう!!!(まだまだ、続きます(笑)今日は長めのブログです)
マーベルト(腰裏の部分です)はタック入りにしています。タック部分があることによって「遊び」ができ動きやすくなります。正確には、動きやすいというか、動きに対して過度に引っ張ったりせず力が逃げる(ずれる?)ので履きやすい…のです。
インポートのパンツメーカーでもトップラインやサルトリアーレラインなどはこの仕様になっていますが、通常のもの(3万円~)はなっていない場合も案外多いですね。
帯の後が割れています。これもフィット感と「力の逃げ」に有効なディテールの一つです。マーベルトのタック同様省略しているところもありますね。
あとウエストの縫い代がかな~りとってます!!!12cm縫い代あります。端0.5~1.0cmは必要なのですが、10cmはウエスト出せます。実際は10cmも出すことはまずないですがかなり対応できます。3~4cmほどしか出せないパンツも多いですね。
パンツは、ウエストで合わせる人が多いですが、基本はヒップやワタリ~ヒザであわせて、ウエスト・裾の長さを調整する方が正解です。
シックと呼ばれる股ずれ防止の当て布です。縫い合わせの多い部分なのと、歩行時など動きが多くスレが多くでるところなので、こういった補強布をつけます。
テング裏の処理も表に響かないように改良しています。(今シーズンより)※毎シーズン少しずつアップデートしてます。
ちょっと分かり難いですが…、パイピングの脇をハンドで仕上げています。ココをミシンで仕上げると簡単ですが堅くなります。こんな所気にしている人はまずいないでしょうが…(笑)オールミシン仕上げでダーーッと大量に作っているのパンツと違い手間暇かかってるんです。ハンドって生産効率が極端に落ちるので結構大変なんです。。。
フロントのジップ上の釦が比翼仕立てになっています。ココは前カンといってホックになっているものが多いですね。ホックタイプだとウエストの具合によってキッチリ止まらず浮いてしまう場合があります。
好みもあるので一概には言えませんが、ホックタイプは安価な仕様なのと、ホックを留めている部分の生地がつったり破れたりしやすいですね。比翼仕様は、ヒヨク部分の膨らみ感がでて留めたときイイ表情です。個人的にはこの仕様のパンツの方がベルトをしたときしっくりきます。
何てことないところですが、ウォッチポケットはインポートは左側(上前)にあるものが多いです。欧米人は左利きが多いのでコッチだとか、、、
リングは当然日本人用なので右側(下前)につけてます。
※自社商品ながらカンヌキも細くてキレイですね~。これが太いとちょっぴりドン臭くみえます。カジュアルパンツの場合はわざとここを太く仕上げます。
もちろん、ピンループも装備してます。ベルトのピンを通して使います。意外と使い方を知らない人も多いです。フロントの中央が垂れさがると、サイドだけ上がり中央が下がる形になってしまうので下腹部~モモにかけてハの字のシワが出やすくなってしまいます。
ちょっぴり面倒ですが、ベルトを巻く際に通して下さい(笑)
ウールパンツ各種。ライトグレー~ミディアム~チャコールと取り揃えています。今季は提案としてネイビーグレーもやってます。
インポートだと3万円前後~ものによっては4万円台(上記のサルトリアーレ仕様など…)になってますが、RING JACKETでは2万前半~です。
実はスーツ以上にコストパフォーマンスが良いんじゃ?と思いますがいかがでしょうか?
メイド・イン・ジャパンのパンツ!是非店頭にてお確かめ下さい。
左から
ネイビーグレーパンツ ¥24,150-(税込)
ミディアムグレーパンツ ¥22,050-(税込)
ライトグレーパンツ ¥34,650-(税込)
チャコールグレーパンツ ¥22,050-(税込)
※次回は禁断の?!パンツの素材について、、、です。RING JACKETならではのコダワリのパンツ素材について+あまり触れられることのなかったパンツ素材についてちょっぴり詳しく。
ご期待下さい。
イタリア出張③
こんにちは、HP担当の奥野です。
今回は、イタリアの現地情報をサラリと、、、
ミラノのDORIANIのウインドーです。いつも綺麗にしてますね。クラシックなスタイルが好きなミラネーゼに人気のショップです。ラベンダー~パープル人気がまだまだ続きそうな感じです。
同じくDORIANI。ショーツはちょっと時期外れですが…、6月に行ったときの写真なのでご容赦ください。
色合わせが上手いですね。日本だとこういった薄いグリーンにネイビーといったコーディネートはまずみかけません。以外と日本人にも似合いそうな気もしますが…。
ミラノのEDDY MONETTIです。確かナポリにもショップがありましね。ナポリ店も良い雰囲気ですが、ミラノは店内も広くより幅広い商品が置いてあるように感じます。白Wジャケットは難易度高いですが、決まるとカッコイイです。
ピッティにも出店しています。最近は純粋なファクトリーやメーカー以外に、小売店が自社オリジナルの精度を上げて大きな展示会に出展するケースが増えてますね。
ミラノのトム・フォードです。う~~ん、格好良いけど…。どういった人がこの服を着るんでしょうか?アカデミー賞の授賞式?一般人にはあまり縁がなさそうです(笑)
ミラノのISAIAです。ここでもパープルジャケット!店の雰囲気もモダンな印象で仕上げています。近くにはジル・サンダーやアレキサンダー・マックイーンなどモード系ショップが並んでいます。やはり、脱クラシコを目指しているんでしょうか?
以前も少し書いたかもしれませんが、、、
今クラシコイタリア協会のイメージが変わりつつあります。元々はイタリアの良質なモノ作りをしているクラシックなメーカーを厳選し、集めた協会でした。勿論現在もそれに間違いはないのだと思いますが。。。
ただ、2代目・3代目の若社長(30~40代くらい?)からすると、少し堅いというか、昔の慣習が色濃く残っている協会なので、別に入りたくない。むしろ、「クラシコ」のイメージがつくより、もっと現代的でワールドワイドな視野でブランド展開していきたい。といった感じで思っている人が多いようです。
一昔前は皆クラシコイタリア協会に入りたくて、順番待ちしててもなかなか入れないといった状況だったようですがここ数年で大きく変わっています。
クラシコイタリア協会のメーカーがダメということでは決して無くて、違った選択肢をとるメーカーが増えだした!ということです。時代は変わっていきますね。
イザイアのイメージもここ数年でかなり変わりましたね。好き嫌いはあると思いますが、ナポリ土着のスタイルのクロージングメーカーといったイメージから、かなりインターナショナルなイメージに変わりました。
(コレもISAIAのウインドー。次のトレンドカラーと言われているグリーン。日本市場で受け入れられるかどうか?)
あとはプロデューサー&ディレクターブーム?!ですね。昔ながらのモノ作りをしているメーカーにプロデューサーが入り、モノ作りとは違ったヴィジュアル&マーケティング戦略を行い人気になるといったパターンが多くなってますね。PT01など典型的な例ですね。もともとパンツ専業メーカーで良い物は作っていたけど、爆発的なヒットがなかった所に…、外部からプロデューサーが入り劇的に変わりました。
昔の姿を知っている人からすると、何であんなに売れるんだろう???と不思議になるようですが、現代では良いモノ作りだけではなく、「良いモノ作り」+「プロデュース力(提案力)」が必要になってきていますね。
いくら歌の上手い歌い手がいても、力のあるプロデューサーに出会えなければ売れない!といったところでしょうか?
良いモノ作りをしてさえいれば大丈夫、、、とやってきた人間にはちょっぴり寂しい気もしますが、時代ですね。
ファッションなんで、作りやコダワリも大事ですが、見た目やデザインやイメージも同じくらい大事というわけですね。
リングもモノ作りにこだわる姿勢は変えず、でもデザインやイメージといったことも大事にしていきたいと思います。「ファクトリーからブランドへ」というのはそういった意味もあると思います。